君想う夢・君恋し花

愛を売る人 … ３ ページ4

「…リュウセイ、それ以上その言葉口にしたら、潰すぞ」
「おやおや…名家のご子息ともあろう方が、そんな下品な言葉を口にするなんて…、兄弟同じ‪α‬でも、生まれと階級は相反するのかな？」
「ッ、テメェっっ！！」

掴みかかったオレを、誰かが後ろから羽交い締めにしてきた

「離せっっ！」
「太輔ヤめろってっっ！挑発に乗るんじゃねぇよっ！！懲罰金が増えるだけだろっ！！ここ出ていくのがまた延びるぞっ、いいのか！！」

その言葉が示す屈辱を誰よりも知っているオレは、血の滲む程唇を噛んで、リュウセイの襟から手を離した

ムカつくほどの皮肉な笑みでオレを見るリュウセイに、オレは蔑みの視線で返した

「…ﾌﾝ、渉か、余計なことしやがって…」
「リュウセイ、ミカドになれないことが悔しいなら、こんな姑息なマネすんな！正々堂々太輔に勝負挑め！」

遣手(やりて)の一番株の渉に叱責されて、リュウセイは苦々しげな顔で奥に入っていった

下働きの禿から達も、一触即発の空気が去ったことにホッとしたように、それぞれの仕事を始めた


「…下らねぇな、ミカドなんざ、いつでもくれてやるよ」
「太輔、お前も悪い！ここに来て何年になる？いい加減に卑屈な心持つのはよせ！何をどう置いても、お前が‪α‬なのは周知の事実だ、生まれ持った宿命は、誰にも絶対に変えられないんだ！」

一つ一つ…諭すように話してくる渉…
その心にオレをバカにするような想いが一つもないのは、渉の人となりを知ってるオレにはよく分かっていた

でも…‪α‬として生まれ落ちたのに、こんな場所で生きていかなきゃならない自分が惨めで仕方なかった…

‪元々‪α‬は特権階級だ…恵まれた容姿と恵まれた頭脳を駆使して、高い地位に付くべき存在、

それなのに…オレは…っ


「別に‪α‬に産んでくれと頼んだわけじゃねぇ！、‪α‬に生まれて、こんな場所で好きでもねぇオンナに媚び諂うような毎日を送らなきゃならねぇオレの気持ちなんか、βのテメェらに分かるかよっ！！」

「それでもお前は、ここで生きていくしかないんだろ？ココしかお前を受け入れてくれる場所は無いんだ！出ていく方法はたった一つだ！金を稼げ、、お前の兄者が作った借金の肩代わり分を返せば、お前はもう自由だ…」


抗えない、もう一つの事実

親父が亡くなった後に発覚した、鉱山開発の借入金…その莫大な金額を、腹違いの兄達はオレをこの店に渡すことで手に入れた…


妾の子…


それが売られた理由……

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