愛を売る人 … 14 ページ15
カイトを撒いて通りに出たオレ…、気の向くまま歩き出した、
街は買い物客で一杯だ…、家族連れ、カップル…友達同士…、誰もが明るい日差しの中を、肩を寄せて楽しそうに歩いていた…
ココには《マトモな人生》ってヤツを歩いてる人達の、幸せオーラが満ちていた、
あの日まで、オレの中にも同じ感覚があった
自分にも未来と言う世界が、大きく広がっていると信じていた…
けど、今はどうだ…
過去にも未来にも、オレの居場所は無い…
迎え入れてくれるのは、ニセモノの愛を売る場所だ…
「太輔さん、貴方は稀代のαです、その誇りを忘れないで…」
稀代のα…誰が?
ただαだと言うだけで、やってるコトはΩと変わらねぇじゃん…、笑える…
そのまま街を歩いてると、小間物屋の前を通りかかった…、髪飾りやブローチ、ペンダントやイヤリングが硝子のショーケースの中に美しく並べられていた
ふと目に付いたのは、赤い石が嵌め込まれた髪飾り…
母親の形見と同じ色の石だった…
「太輔…もうここに来てはダメ…アナタはお父様のウチの子になったの…お母さんのことは忘れて頂戴…」
5歳の頃の思い出なんて、大抵は消えてしまうのに、その日のことだけは今もハッキリと覚えていた
捨てられたんだ…
心を抉られる痛みだけが、思い出だった
池に投げ捨てた簪…、そう言えば、びしょ濡れになって持ってきてくれた子がいたな…
まん丸い目をした…桜柄の着物…
笑った顔が、綻んだ桜の花みたいに思えた…
ぼんやりとした輪郭…思い出せそうなその姿に、想いを馳せてると、ふと甘い香りが鼻を掠めた
「…え…」
周りを見ても、その香りを強烈に感じることは無い…
気のせいか…
そして歩き出したオレを追いかけるように、またその香りが漂ってきた
「なに…?」
ほぼ感覚だけで、歩きだしたオレ…次第に人通りが疎らになってくる道を逆行する様に歩いていく
そして、ある瞬間…強烈な甘い香りがオレを立ち止まらせた
「…離せっ…」
聞こえてきた声の方向に、三人のスーツ男に囲まれた小柄な人の姿が見えた
ナンパ…じゃねぇよな、どう見てもヤバい…
茜色の着物は、抗うことで襟元が抜きかけている、袖から見える腕は、体格のいい連中に掴まれ、完全に動きを押さえ込まれていた
周りより頭一つ分小さな姿…壁の様に立つ男の背中越しに見えた顔…
オレは我知らず、その一団に声を掛けていた…
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GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» 機会があれば書いてみたいと思います!コメ大感謝です! (2019年2月9日 19時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» 連コメありがとうございます!ですよねー特にみっくん笑、実際の男子高校生はまだ幼さがありますが、ハマってるのは間違いない笑、でも先生もいいんだよなぁ…、雪華でどっちも書いたな、と懐かしく思いました、学園モノは書いてても楽しいので、樹ちゃんとのエピも (2019年2月9日 19時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃん(プロフ) - 樹ちゃんからの手紙を読む場面は何回見ても泣けてきます。30過ぎると、高校生役って違和感を感じるのに、キスマイは違和感がないのは何なんだろう。特に藤北は… 学園ドラマ出られそうな程に自然に見える(^^; 樹ちゃんと幼馴染と藤北の恋 良いかもです。(^-^) (2019年2月9日 17時) (レス) id: 09c99e26a2 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» エイベたんの《樹エピ 》にまた違うお話浮かびそうで、想像蹴散らしてます、もう掛け持ちはムリ笑、コメ大感謝です! (2019年2月9日 12時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» ホントなのかわかんない笑、勿論アルバム&魂は今か今かと期待しております!とりあえずオリコンの結果がドキドキ…そしてトラさん、Mステ…あーもぉ有りすぎて幸せな困り方笑、お話はかなりheavyな展開になるかもです、ヤバいな…宜しければ続き覗いて見て下さいねー! (2019年2月9日 12時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:GAYASAKURA | 作成日時:2018年12月29日 18時