Ｉ wish to be your only one …エピ１

佳き日のその後 ページ1

教会で、あの後も仲間達の《宴会かよっ！》的な手荒な祝福を受け、オレと太輔は心地いい疲れと共にホテルに戻ってきた……フロントで迎えてくれた松田さんが、オレ達の若干お疲れ気味の様子に気づいた様で、夕食はルームサービスの手配をしてくれた…ホント、この人って接客のプロ、顔色一つでその人コト全部わかるみたい…オレの仕事にもこの気配りは必要だな…と感じた。太輔もそう思ったみたいで、エレベーターの中で、「あの人みたいなプロの大人になりたいよな」て、ホントに感心してた…

部屋に戻って、ルームサービスの届くまでの間、何となく二人で壁一面の窓から、行き交う飛行機を眺めていた…

「あと２日か…」
「ん？」
「オレの休暇、あと２日…一旦アメリカに帰らなきゃ…」
「…そ…か…」

…そうだった…太輔にはアメリカで仕事が待ってる…１０年前は高校生だったオレ達、あの頃は毎日一緒にいられたけど、今はそういうワケにいかないよな…複雑な想いが込み上げて来る…

「…宏光……あのさ…」
「え？」
俯いてた顔を上げたとき、ドアがノックされ、ルームサービスの夕食が届いた…

キレイにセッティングされたテーブル…インテリアの本にそのまま載せられるほど美しく整えてくれてる…スゴいな…

「コチラは、総支配人からのお祝いでございます」
ワインクーラーに入ったボトルが、ワゴンに置かれ、慣れたように太輔が、そのラベルを確認ながら、「10年前のだ…」と嬉しそうな顔でオレを見てきた…
「いい記念になりましたと、松田さんに伝えてください」
「かしこまりました…」

開栓して、テイスティング…っていうのかな、そんな洒落たコトしたことないオレ…太輔が全部スマートにこなしてくれて、その後、サービスの人は戻っていった…10年の間に、太輔はホントにオレの想像以上に大人のオトコになっていた…嬉しいんだけど…どこか寂しい気持ちを隠せない…そんなオレを心配そうに見てる太輔と目が合う

「宏光、どしたの？食べようよ」
「あ、うん…」
「今日、久しぶりにアイツらに会えて、オレめちゃめちゃカンドーしたわ、変わってねーな、みんな…」
「そうか？なら良かった…」
楽しそうに、今日の出来事を話してくる太輔、その屈託のない笑顔だけはあの頃と変わってなくて、オレは嬉しかった…

会話が少し途切れた時、太輔が飲みかけのワイングラスをテーブルに置くと、オレの目を真っ直ぐに見つめて話してきた…


「宏光…オレと…アメリカに来ないか？」

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