Ｉ wish to be your only one …エピ１

佳き日のその後…２９ ページ29

「ひろ…カオあげてオレのコト見てよ…」

いろんな想いが交錯して、知らず俯いてしまってて…太輔に呼ばれてオレはカオを上げた…目の前にある太輔のカオ…その瞳にちょっとだけ不安そうな色が浮かんでる…

これからアメリカ戻るのに、こんなカオさせんの…オレ、家族としてダメだよな…

「あ、ゴメンな…んと、」
「…クリスマス、二人でどっか行こっか？オレ、少し長めにクリスマス休暇取れるように仕事調整するから、な！」
「いいの？」
「うん、どこ行きたい？…ヨーロッパとかどう？有名な建築物とか美術館とか…仕事に役立つんじゃない？」

ニコニコしながら、行き先を提案してくれる、でもなぁ…

「うーん、…日本はそこまでクリスマス休暇、長めには取れないかな…」
せいぜい、取れて３日…くらい？文化の違いだよな…

「あ、そか…んー…じゃ、ダイヤモンドダスト見に行く？…覚えてるか？約束したの…」


戻っていく時間…太輔と離れる前の、二人の約束…太輔、ちゃんと覚えてたんだ…

「…覚えてる…二人の初めてのクリスマスだからって…オマエ、忘れてると思ってた…」
ちょっと笑って、太輔の手が伸びてきて、オレのオデコをツン！と突っついてきた

「アホ,忘れるわけないって、……オマエとのコトは多分オレ、全部覚えてる…宏光との想い出…この１０年のオレの支えみたいなモンだったからな…」
「…オレも…そうだった…」

寂しくなると、太輔からもらったあったかい光のような出来事を、いつも思い出して、冷えてしまいそうな心を温めていた…

「これからはさ、二人の想い出がいっぱい増えてくな！…家族になって初めての想い出、一緒の作ろ！ま、ハネムーンかなぁ」
「ハ、ハネムーン…って…」
その言葉に照れてしまう
「だろっ！」
至極当然！という感じの太輔、まぁ、そうだけど…勝手に口許が緩んでくるのはナゼだ？

「うん、ありがとう！嬉しいよ」
「オレ、アッチで仕事頑張ってくるから、スケジュール空けとけよ！」

そう言って、アタマポンポンしてくる太輔…オレに触れる時はホントに優しいカオになる…
「でも、ムリすんなよ、オマエさ、ホントに突っ走っちゃうトコあるから…オレは、太輔と一緒にいられたら、どこにも行かなくてもいいんだから…」
「…わかってるって！でも、オレがつれていってやりたいの！、ホントにすげぇキレイだから…見せてやりたいんだ…だからそれまでは、寂しいのガマンしてな…」

「うん…」

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