I wish to be your only one … L.O.V.E

Precious Lover … ４２ ページ43

「お前なんか要らないって、言えばいいから…っ…」

オレは、もうそれ以上言葉を続けることが出来なかった、ぐしゃぐしゃの感情が全身を駆け巡り、何を考えればいいのかも分からなかった…

「ひろ…」

進みかけた車椅子を止め、太輔がオレの前に来た…ゆっくり腰を落とし、目線をオレと同じ位置まで下げると、俯いてるオレの頬をそっと両手で包んでくれた

「オレを見て、ひろ…」

静かなトーンの声が聞こえて、オレは膝に落とした視線を上げた、目の前にいる太輔は、オレの一番好きな…光の向こう側を見せてくれる微笑みをオレに向けていた

「…宏光、もし宏光とオレの立場が入れ替わっていたとしたら、ひろはオレを負担だと思うのか？…要らないって、言うのか？」

太輔は、一言一言ゆっくりと言葉を紡ぎ、オレにそう聞いてきた…優しい瞳、穏やかな声…何も言えなくて、オレは手で顔を覆い頭を横に振った

そんなコト…あるわけない…

「うん…ありがと…」

そんな声が聞こえて…頬に添えられていた手が外され、柔らかくオレの手を握ってくれた

「顔見せて…」

そのままゆっくりと顔から手を外され、親指で涙を拭ってくれる、そして手のひら同士を重ね指を結び合った

「たい…すけ…」

名前を呼ぶと、ホントに嬉しそうに笑ってくれた

「ひろ、オレね、…今日ほどオマエと籍入れて良かって思ったこと無い…、こんな風に誰にも遠慮せずにひろの一番近くにいられる…、すげぇ幸せ…、ひろを負担に思うことなんかあるわけない、だからさ、ひろもオレのことも負担に思わないでよ…ずっといるから、だからもう怖がらなくていい……一緒にいよ…？」


その眼差しが、声音が…太輔の真実をオレに伝えてくれる…


「…っ、…ｯｸ……」

ボロボロ流れる涙…恥ずかしいほど泣いてしまうオレを、太輔は何も言わず、ずっと手を繋いでいてくれた…


どれくらい、そうしていたんだろう…

離れていた間の不安や寂しさ…得体の知れない恐怖が、涙と共に流れていくように思えた

結んでいた手を自分から離した時

「…ちょっと落ち着いた？なら、部屋に戻ろう」と太輔が言ってくれた、ストッパーを外し車椅子が動き出す

「部屋に戻ったら少し眠ればいいよ、おやすみ三秒のひろ、久しぶりに見たいよなぁ」

クスクス笑いながら、オレを揶揄ってくる太輔に、オレは「…るっせェ」って言い返す



そして思う…




オレはいつまで…太輔とこんな風に話せるんだろう…




…と…────

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