I wish to be your only one … L.O.V.E

Precious Lover … ４０ ページ41

迎えに来た看護師に誘導され、オレと宏光は病棟とは少し離れた静かな部屋に入った

点滴チューブを付けたままの宏光、入ってるのは何の薬剤なのかと看護師に聞いてみると《鎮痛剤》だと言われた

「ずっと点滴入れてんのか？」
「うん、多分…頭痛のせいだと思う…」

そう言えば、アメリカに行く前も宏光はよく鎮痛剤を服用していた気がする、あの頃からずっと痛みが続いていたのか…

どうしてもっと早く病院に連れて行ってやらなかったんだ…宏光が自分のことは我慢をしてしまうコトなんかイヤという程知っていたのに…

今のオレには、懺悔と後悔しかない…

「ずっと痛かったろ…ゴメンな」
隣に座ってる宏光の頭を肩に引き寄せ、オレの頭をそっとくっ付けた、痛みを代わってやれるなら、どんなにいいか…

「へーきだよ…オレみくびんな…」

そう言って、宏光はオレの手に自分の手を重ねた

そして「お待たせしました…」と新海医師が入ってきた


「これが北山さんの頭部CT画像です」

何枚かの画像を投影機に差し込み、新海医師が一つ一つ説明をしてくれる

医学的な言葉はほとんど使わず、オレと宏光に出来るだけわかりやすい表現で、今の症状を伝えてくれる
真摯な態度は、この医師の信頼性の高さを教えてくれた

「脳のこの部分に、腫瘍が見られます…」

裕太からその事を予め聞いていたオレでも、画像を見せられた時は全身が強張るのを感じた

宏光は言葉もなく、その画像を見つめていた
そして、ゆっくりと目を伏せた後、再び目を開き、新海医師をまっすぐに見つめた


「オレは脳腫瘍…なんですか？」

宏光の問いに、新海医師はキュッと唇を結び頷いた

「そうです、かなり頭痛が酷かったのもそのせいです、あの痛みをよく耐えておられたと思います」

そう言って新海医師は、手元のカルテに目を移した

「宏光の状態は…今はどうなんですか？」

オレの問いかけに、新海医師は少し頷き言葉を続けた

「腫瘍自体は、そこまで大きくはないんです、ですが位置が少し、良くない場所にある」

「位置、ですか？」
「ここです…、腫瘍がある部分は、言語と記憶を司る場所になります、手術で取り除くのが一番の治療法です、ですがその場合、どちらかに少なからず影響が出てくると思います」

「影響…？」
「言語障害か記憶障害…もしくは、その両方です」

宏光の顔に、ピリッと張り詰めた何かが見えた



「手術をしたら…何も話せない、何も思い出せない…と言うことですか？」

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