I wish to be your only one … L.O.V.E

Precious Lover … ３９ ページ40

入ってきたのは、経験値の高そうな男性医師だった、オレを見ると少し微笑み軽く頭を下げる

オレもそれに合わせ頭を下げた

「あの…」

この人が誰なのかを確認しようとした時、宏光が「新海先生…」と言った

新海先生…、この人が宏光の担当医なのか？


「北山さん、気分はどうですか？」

ベッド脇に来ると、宏光の状態を確かめる様に体に触れていった、そして一通りの診察を終えると、見ていたオレに向き直った


「藤ヶ谷さん…ですね、初めまして、担当医の新海です、宜しくお願いします」

聞き取りやすく歯切れのいい言葉遣い、一目で誠実な人柄とスペックの高さが、その全身に現れていた…

何となく、トモセンセイに似てる…と思った

「初めまして、ご挨拶が遅れて失礼しました、藤ヶ谷太輔です、宏光がお世話になります」

「戻られるのをお待ちしていました…、カンファレンス室へお願い出来ますか？…北山さんの今の状態と今後の治療方針を相談させてください」

「分かりました…」

何も答えず、不安をそのまま表情に出してる宏光の手を繋ぐようにしてキュッと握ると、僅かにオレの手を握り返してくれた

「大丈夫だよ…ひろ」
そう言って笑ってみせると、ぎこちなさは残るものの微笑み返してくれた


「北山さんとご一緒に聞いて貰いますね、車椅子用意しますので…、カンファレンス室へは看護師に案内させます」

「はい、宜しくお願いします」
「では後ほど…」

そして新海先生は出ていった


部屋にはまた、宏光とオレだけになった
同じタイミングで、チラリと視線が重なる

そして、同じタイミングで笑う…
どこでもいい、二人でいられる…その事が何より嬉しい

ベッドに腰掛けると「起こして…」と宏光が頼んで来た

枕を動かして、カラダを起こしてやろうと前抱きすると、そのまま体重預けるようにしてピトッとくっ付いて来た

「ｸｽ、甘えん坊宏光降臨だな」
「いいだろ…、てかその言い方宮田かよww」
「キミに萌えきゅん？」

追加でオタ語使うと、宏光がブハーッと吹き出した、楽しそうなその笑顔…オレの好きな宏光の表情が見れたことにホッとする


そのままそっと抱き寄せた…


「会いたかった…」
それは小さな小さな声……けど、宏光のホントの気持ちが込められていた

「オレだって、毎日会いたかった…」
おデコをくっ付け、鼻先を合わせるようにして存在を確かめ合う


そして、恥ずかしそうな上目遣い…


それに応えるように、そっと唇を同じ場所に重ねた

Precious Lover … ４０→←Precious Lover … ３８

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す