I wish to be your only one … L.O.V.E

Precious Lover … ３５ ページ36

夜明けに着信音が鳴った…

「…ん、……ダレ……」

遮光カーテンをぴっちり閉じた部屋は、眠りを妨げる光は一筋も入らない、その中で重い意識と瞼をこじ開けるのは、結構至難の技だ…

「…眠ぃ……」

ここ数日の会議と長距離移動で、オレの睡眠時間はかなり削られていた、

けど、早く契約を締結させればその分早く日本に戻れる…可愛いヨメの笑顔を思えば、睡眠不足なんか蹴散らせる日々を過ごしていた

2度目の着信でやっと頭がクリアになり始める

ベッド脇のテーブルからケータイを取り上げ、目を細め焦点を合わせながら名前を確認した

「…お義父さん……」

デスクに置いてある2つの時計で日本時間を確認する、日本は夜か…なんだろう…

画面をスライドして耳に当てると、「太輔くん？」と宏光のお父さんの声がした

「起こしてすまないね…今、話をしても大丈夫かな」
オレを気遣うように、言葉を進めてくる、だけどその声音に微妙な揺らぎを感じた、その揺らぎが、オレを不安にさせた

「はい、大丈夫…です」

tellの向こうで、少し息を吐く気配があった、切り出し方を考えあぐねているような雰囲気…

まさかひろに…

「お義父さん、何かありましたか？」
「…太輔くん、…宏光がね、入院することになった」
「え！？」

予感が的中したことに、オレの意識は瞬時に宏光に向いた

「入院って、ケガですか？それとも病気ですか？今どんな様子なんです？」
矢継ぎ早に状況を尋ね返事を貰おうとしたけど、お義父さんからの返事は無い

「太輔くん、日本に帰って来れるかい？…宏光の状況は、君が直接担当医から聞いた方がいいと思う…大きな仕事を抱えて大変だとは思うが、帰国は難しいだろうか？」

そんなコト、返事は一つに決まってる

「分かりました、エアのチケットが取れ次第帰国します、これから手配します、時間はまたお知らせします、お義父さん、ひろは？ひろは話が出来る状態なんですか？」

大切な人の様子が何も見えない今の状況…、その事がオレの不安を掻き立てる


「それは大丈夫だ、もう目が覚めるだろう…ただ病院内はケータイが使えないから、今は話をするのは少し難しいかもしれないね」

「そうですか…、容態…今すぐどうこうてコトでは無いんですよね？」

それだけが知りたかった、オレが行くまでにもし何かあったら…ゾッとする想像をオレは打ち消そうとお義父さんに尋ねた


「今は大丈夫だ、太輔くんの顔を見れば宏光も元気になるだろう…」

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