I wish to be your only one … L.O.V.E

Precious Lover … ３３ ページ34

「後は脳外科でするよ…内科部長が玉森先生を早く戻してくれってウチの西条先生に連絡して来てる、ありがとう」

人懐こそうな笑顔で裕太にそう言うと、裕太も仕方ないと思ったのか「ひろ、また後で来るね」と言って病室を出ていった

そして部屋には、オレと新海先生の二人だけになった、何か話した方がいいよな…て思ってたら


「北山さん、具合はどうですか？」

誠実な人…と言うのを素で感じさせる笑顔で、その人は聞いてきた、この人がオレの担当医？
疑問が顔に出ていたんだろう、ベッド脇に来ると点滴のチューブを触りながら、自己紹介してきた

「一応初めまして、ですね、担当医の新海広紀です、脳外科医です」
「脳外科…？」

個室なのもあり、思ってもみなかった場所に自分が置かれてるコトに驚いて、新海先生の顔を無意識にガン見していた、その視線が柔らかく受け止められる

「あ、初めまして…あの、オレ…っ」

脳外科なんかにどうして…続かない言葉を悟ってくれたのか、新海先生がカルテに何かを書き込みながら微笑んだ

「建築現場で材木の下敷きになる所だったそうですね、大事に至らなくて良かったです、…ですが少し頭を打ってるかもということで、脳外科に移ってもらいました、CTの所見では特に出血等は見られませんでした、…どうですか？、頭痛は治まりましたか？」

特に何でもないように聞いてくる新海先生

言われてみれば…倍量の鎮痛剤を服用しても治まらなかった頭痛が、あっけなく消えていた
常時重苦しさを感じていた首や肩も、今はそれほどでもない…その事がオレをホッとさせた

なんだ…大したことなかったんだ
市販薬ってやっぱ効き目薄いんだな…

「はい、今は全く、ありがとうございます！」

懸念事項が無くなったことで、オレは久しぶりに笑うことが出来た、そんなオレに新海先生の静かな視線が向けられた


「…先程CTの結果が出たんですが、加療が必要なコトが見つかりました、家族の方を交えて治療方針をお話したいと思います、お父様からパートナーの方が、今アメリカに仕事で行っておられると伺いました、その方のお帰りを待ってお話したいと思います」


新海先生のその言葉に、オレは声を上げた

「それは結構です、オレ一人で大丈夫なので…こんなコトくらいで、家族に迷惑かけられないので」

誰に何を言われても、オレの気持ちは変わらない、今太輔を帰国させるわけにはいかないんだ


ギュッと手を握りしめ、オレは新海先生の顔を見た

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