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Precious Lover … 18 ページ19

「薬…効いてきたかな…」

幾分残る鈍痛を感じながらも、いつまでも地下倉庫にいる訳にもいかず、オレはカラダの中の不快感を掻き出すように深く息を吐いた

地下倉庫は無音だ…ひんやりとした空気も、今の自分には心地いい

もう大丈夫のはずだ…


「戻らなきゃ…」
作業机に突っ伏してたカラダを起こし、立ち上がる、どうやらフラ付きはなさそうだ

腕時計を見ると30分は経っていた

急にいなくなって、皆に変に思ってないだろうか…

事務所への階段を上がりながら、フロアの様子を伺う…降りていった時と何も変化はない、聞こえてくる音や声は、日常的に繰り返されるものだった

良かった…

胸を撫で下ろしてフロアに上がる、頭痛も短時間でさっきよりかなり軽減してる、

やっぱ気分的なモンなのかな…

フロアに戻ったオレをいち早く見つけた岸が、声を掛けてきた

「あ!チーフ、どこいってたんです?」
「ん?地下倉庫、ちょっと捜し物に」
「ふーん、…で、結局捜し物見つからなかったんですか?」

手ぶらのオレを見ながら、不思議そうに岸が聞いてくる

「そだな、…無かった…」と曖昧な返事で誤魔化してると「チーフ、所長が探してましたよ」と安井くんが教えてくれた

「所長が?」
「はい、見かけたら部屋に来るように伝えてくれって」
「そか、サンキュ」

そのまま上の階に続く階段を上がる

父さんがオレに話ってなんだろ…


特にトラブルも無いしな…新しい契約でも決まったのかな…なんて考えながらドアをノックした

「宏光です…」
「どうぞ、入りなさい」
「失礼します」

ドアを開けると、壁一面の窓には冬の色を帯びた空が広がっていた、夏空や秋空には見られない静かで穏やかな青空…

「お呼びでしょうか?」
「ああ、お前に相談があってな…」
「相談?クライアントとの契約に関してですか?」

どの契約だろう…

思考を巡らせてると、所長が楽しそうな笑みを浮かべてオレを見ていた

「宏光、お前独立する気はあるか?」
「えっ!?」

独立…?言葉の先がとんと思いつかなくて、オレは所長の顔をまじまじ見つめてしまう

「そうだ、ベテランと若手…この事務所も段々手狭になってきた、まだ私の中での構想に過ぎないんだが、事務所を二つに分けようと思っている、住宅部門と商業施設部門だ…お前には住宅部門の設計事務所の代表になってもらいたい」

「オレが住宅設計の代表ですか?」


思いもよらない所長からの打診に、オレはただ驚くしかなかった

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GAYASAKURA(プロフ) - seaぺこさん» 続き覗いてくださればと思います!泣かせてゴメンなさい!コメ大感謝ですー! (2018年6月14日 23時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - seaぺこさん» こんばんは!コメありがとうございます!再読ありがとうございます、少しずつですが過去エピを入れております、あのシーンかぁと思っていただければ嬉しいです!ザワザワ展開ホントにゴメンなさいー泣泣、二人の絆を感じて下さるようにup頑張りますので、宜しければ (2018年6月14日 23時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
seaぺこ(プロフ) - こんにちは、何度も失礼します…またもやシリーズ初回から読み返していました泣 これ以上の試練…もし限られた時間なら24時間付いて居たいのに…嫁の事は自分の事より大切で心配で仕方ないのに、気持ちを隠して安心を与えようと振る舞う太輔旦那に涙です(TT) (2018年6月14日 16時) (レス) id: 5a95b02aa0 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - ふじみつさん» おります、覚えておられたら懐かしく思って頂けるのではないかと思います、なかなかのシリアス編となりそうですが、ラストは《藤北ぁぁぁ! 》で終われたらいいなぁと考えております、宜しければ続き覗いてくださればと思います!コメ大感謝です! (2018年6月13日 8時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - ふじみつさん» おはようございます!コメありがとうございます!はい、おそらく殆どの読み手様の予想がドンピシャだったのではないかと思いますwここからかなりの辛展開となります、申し訳ございませんー!今回は《記憶》がキーワードなので、過去エピ遡りながらupしようかなと思って (2018年6月13日 8時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:GAYASAKURA | 作成日時:2018年5月20日 20時

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