恋蕾 ー ３

淡雪恋蕾 … １３１ ページ43

太輔の気持ちは痛いほど伝わってきたけど、それから数日後…そうも言ってられない事が起きた

「じゃ、今日と明日留守にするから後のこと頼むな」
「うん、行ってこい…気を付けてな？」

この日、太輔と松永さんは新規事業計画の一端として土地の売買に関する話を詰めるために如月を留守にすることになった

詳しい話しは聞いてないけど、何でもユリさんの実家である相澤総合病院が、新しく医療研究所を立ち上げるらしく、その立地に絡んでの視察らしかった

「何かあったらすぐ連絡くれよな？柊羽、オレいない間、宏光困らせんなよ？」
「しないよ、太輔こそミツいないからってハメ外さないでよね！」
「は？するかバーカ！…あ、ひろ、お出かけのチューは？」
「アホかっ！おまっ柊羽の前で何言ってんだよっ！」

太輔のちゅどーん爆弾炸裂に、オレはアタフタしてしまう、時々太輔は柊羽の前でシレッとそゆこと言うし、イロイロ仕掛けてくるしで、オレとしては困ってしまう事も多い…

「えーなんで？2日もハニーと離れるのにチューしてくんないの？愛が目減りしてる…ヤバいぞ」
「うわっ、ソレって最悪じゃん！ミツ、ほら太輔にキスしてあげなよ」

こうなると柊羽まで悪ノリしてくるから、タチ悪いったらない！うん、ココはスルーで！

「早く行けって！…ってうわっ！」

…と思ったけど、イキナリ柊羽が後ろからオレを押して太輔が受け止めるという連携プレーに出やがった！

「じゃ太輔、いってらー！」って、オレのこと押しといて、あっかるーい声だけ残しリビングにさっさと戻っていく

抱き締められたオレはボーゼン…

すかさず太輔のキスが降ってきた…

濃いめのキスを交わし、唇離れると「うん、チャージ完了！」って満面の笑みで迎えの車に乗り込んだ

ドアを開けていた松永さんが、オレ達に軽く会釈してくれた

「松永さん、おはようございます…太輔のこと、宜しくお願いします」
「承知致しました…、二代目が恙無くお仕事遂行できます様、全力でサポート致します、伴侶殿も、二代目のお留守の間はアナタがこのご自宅でのトップです、どうぞその事をお忘れなきよう…」

「はい…」

安直な行動をするなと言外に含まれているのは明らかだ、松永さんはオレへの念押しの後、太輔の乗り込みを確認してから隣の席に腰を据えた

発車の寸前、太輔側のパワーウィンドウが降りてきた

忘れ物か？と、太輔の顔を見つめると何やら口元が動く


《アイシテル》

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