LOVE CASTE … 恋哀階級 vol.２

CASTE … ６０ ページ13

…ホントにそのまま北山さんは目を閉じてしまった…

｢北山さん…ベッド行きましょ｣
｢……ﾝ……｣

少し身じろぎしてオレに持たれてくるカラダ…うっすら湿り気を感じる髪に鼻を寄せると甘い香りがする…

ボディソープもシャンプーも、全て同じ香り…この部屋には、どこも同じ香りが漂っていた…

この人の好みなのかな…

目元に掛かる髪を指先で流し、その寝顔を見ていると、オレよりも２つ上なのに無防備な幼さを感じさせる…

淡く開き掛けた赤い唇に、我知らず目が吸い寄せられる

｢…何、考えて…｣

邪な想いを振り解き、背中から腕を首に掛けさせ上半身を起き上がらせる、膝裏に差し込んだ手で抱き上げた

目を覚ます気配は無い…
よっぽど疲れてるんだな、と閉じた瞼を囲む長めの睫毛を見つめた、この前は睫毛は水分をたっぷりと含んでいた


｢…軽いんだけど…｣

小柄なのもあるんだと思うけど、男の人なのに、抱き上げた両腕にはそれほどの重みを感じない

ちゃんと食べてんのかな…と心配になる

そのまま隣りの部屋のドアを開け中に入る…この前は気づかなかったけど、この部屋には、さっきの甘い香りを一層濃く感じる…

眠ってる間も、この人はこの香りに包まれてんのか…

この前も、これ以上無いくらい雨を吸い込んだスーツを脱がせた時に見た肌には、薄らと幾つもの《アト》が残っていた


《執着》…ふと、そんな言葉が浮かんだ…

ＴＥＬでのやり取りを聞く限り、相手の人とは余り上手くいってないように感じた…
でも、自分には二人の関係に立ち入れる理由が無い

｢…ぐっすり…寝てくださいね…｣

そっとベッドに下ろし、オレの肩に回させていた手を外させた、オレよりひと回り小さな手…

キュッと握って、そのままシーツに置いた


この前は…泣いていた…
でも今は、ちゃんと眠ってる…

この人の寝顔は、なんだか安心する


｢…おやすみなさい…｣


掠めるように頬に唇を当て、オレは部屋を出た

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