LOVE CASTE … 恋哀階級 vol.２

CASTE … ８６ ページ40

｢で、でぇとッ！？｣
｢そ、でぇと！しよっ！！｣

太輔からの唐突でイミフな誘いに、オレは口の中でモグモグしていたパンを飲み込み損ねた

｢んぐっ！むぐぐ…っ！｣
｢わ、ヒロ大丈夫っ！？コーヒ飲んでっ！！｣っと、マグカップがソッコー渡される、生き残りを懸けた瞬間みたく、喉に詰まったパンの塊をコーヒーで流し込んだ

｢ゲホゲホ…ッ！…おま、イキナリなんだよっ！殺す気か？｣
ようやっと喉が開通して、オレは目の前の心配気な顔をしたヤツをガン見した

｢…そんな驚くと思わなかった…｣
｢いや驚くだろっ？《でぇと》とかフレーズ、フツー野郎同士に使わねぇし！｣
｢え、そうかな？気持ち通わせてる二人が出掛けんのって、誰でも《でぇと》じゃない？｣

コイツの顔見ると、マジでそう思ってるのが伝わってくる…オレはなんて返事すりゃいいのか…

｢そだけど…そんなどストレートに言われんの、初めて…だから…｣

…って、うわぁ何をオレはカミングアウトしてんだっ！太輔目ェパチクリしてるし！ハズっ！！

ってアセアセしてたら、アイツはその驚き顔を一瞬にして花開く様な笑顔に変えた

ソレはオレの大好きな、ホワッとした…陽だまりみたいな笑顔…オレはその表情に吸い寄せられる様に目を向けた

｢…めっちゃ嬉しい…｣
｢え？｣
｢何でもいいから、ヒロにして上げられる《初めて》がオレにあって、すげぇ…嬉しい｣


言われた方が赤面してしまう様なセリフに、オレはやっぱり…なんて返したらいいのかわからなくて…ただ、こんな風に表情や言葉で素直な気持ちを伝えてくれる太輔を愛おしいと思い、羨ましさすら感じた

｢…も、おまミョーなコトに感動してんじゃねぇよ！…ほら出かけんだろ、仕度しようぜ…ったくもう昼前じゃん！｣

ホテホテしてる顔を見られたくなくて、オレは顔を背けながら椅子から立ち上がり部屋へ行きかけた

｢だってヒロ起きないし！｣
｢るっせ、お前がさんざんオレのコト弄くりまわすからだろうが！｣
｢…弄る…って、ヒロなんかえちぃ…｣

はぁ？なに？オレ今地雷踏んだのっ！？

ふふふ…ってオレを揶揄かうように含み笑いしてくる太輔に、オレの調子は狂わされっぱなし！、んーなんか二つも下のヤツにイイように転がされてるような？

｢と、とにかく！服着替えてくるからっ！｣
｢うんっ！オレも着替えて待ってる！｣って返事する太輔は、オレにはやっぱり…ご主人をひたすらに溺愛してるワンコに見えた

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