LOVE CASTE … 恋哀階級

CASTE … ４２ ページ44

｢…あん時の…｣

コンビニでアタフタしてたヤツか…
何となく…薄ボンヤリと顔は覚えてるような、そうでないような…

なんか…顔あちぃし、わかんねぇな…

｢はい…１０円借りっぱだしどうしようて…けど、あの駅が最寄り駅ならいつか会えるかもってずっと探してました、そしたら昨日、…傘もささずにあの雨の中歩いてるのを見つけて…ついてきちゃたんです…｣

…偶然……？違うだろっ！

胡散臭いにも程がある！
熱でボケてる頭でもそれくらいのコトわかるしっ！

｢お前な、そんな都合の良い話信じるオトナがいると思うか？！あ？いいか？オレとオマエが会ったのってあのコンビニ一回だけだぞ？オマケに遭遇時間数分だ、たったそれだけでオレをずっと探してたとかナメてんの？…ふざけんなよっ！！……ッ…｣


熱があるのにいきなりデケェ声出したからか、クラっと目の前が揺れる、カラダが前に行ってんのか後ろに行ってんのかもわからなくて、ふわぁと揺らいだ時、支えるように腕が伸びてきた

｢…大丈夫ですかっ！？｣
｢触んなって…はぁ……あっちぃ……｣

抱きとめられた胸に顔を寄せ、オレは痛む頭と段々と重くなる瞼に力を入れ、何とか目を開けようとしたけど、どこもかしこもいうこと聞かない

｢…寝たほうがいいです…熱、さっきより上がってます…起きたらいくらでも謝りますから、ね…？薬、飲んでください｣

ソイツは一粒の錠剤を手の平に載せ、ベッド脇のテーブルのペットボトルのフタを開け｢どうぞ｣の声と一緒に差し出ししてきた

｢なんだよコレ…｣
｢解熱剤です…よく効くから目が覚めたら熱下がります、話はまたその時に…｣

靄の向こうから聞こえるような声は、とても耳に心地いいトーンとイントネーションをしていた

｢…要らねぇよ…見ず知らずのヤツからなんて、なんの成分入ってんのかわかんねぇ…｣

｢…なら、仕方ないですね……、失礼します｣


言うなり、ソイツは錠剤と水を口に含みオレの顎を掴むとそのまま口移しに飲ませてきた

１０００％予想もしてなかったソノ行為にオレは驚きまくって、あろう事か無抵抗のまま流し込まれた液体をゴックンしてしまった


｢…唇アツいです、少し寝ましょう…｣


ホントに何事も無かったかのようにベットに寝かされブランケットを掛けられる


｢おやすみなさい…起きたらラクになってますから｣

微かに頬に触れた手を叩き落とすことも出来ない


パチン…と部屋の電気が消され、オレの視界からソイツは消えた

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