雪華 … Snow Crystal ７

sonata：３ ページ37

この世界での《破門》が何を意味するのかは察するに余りある…卑劣な行為への報いは必ずあるものだ、易々と裏切る輩も然り…

《十六夜》には《十六夜》の掟がある…
あの日会った相談役だという初老の男をふと思い出した

相当な実力と求心力を兼ね備えた人物なのが、ひと目でわかる佇まいだったよな

そんなコトを考えながら、オレは今にも寝落ちしそうな宏光のフニャフニャした様子を可愛いなぁ…と思いながら眺めていた

｢眠いなら寝たらイイよ｣

伝わる体温はもうオレの肌に刻まれてる…

でも宏光は睡魔とサシで勝負するつもりなのか、ブンブン首振りながら目元をコシコシしてるｗｗｗ
その姿…もうハムスターにしか見えない

このまま極小サイズにして、手のひらで寝かせたいんですけどｗ

｢ｸｽ、…ハムスター感パない、もう寝な？｣

なんか想像したら可笑しくて…毛並み撫で撫でするみたいに柔らかい髪の毛に指を絡め、睡魔に完全白旗掲げるよう促した

とは言え…
｢ヤダ、まだ寝ない！12時来るまで寝ないッ！｣
って当の本人は言い張ってるんだけど、何で？

よく分かんないけど、本人たっての希望だしこのまま寝そべってたら寝ちゃうでしょってコトで、とりまベッドに座らせて後ろから抱き締めた

二人共何も着てないけど、くっついてたらあったかいよな…ってブランケットを引っ張り上げてオレごと包んだ

耳朶にキスして、キレイな項に顔を埋めると擽ったそうに身じろぎする

｢太輔、カイロみたいだ、ぬくぬく｣ってご満悦さを声のトーンが伝えてくる、その言い方もちょっと可愛くて、オレは宏光の手をキュッと握った

こうしてると、ああ、こんなにも近くにいてくれるんだ…と何度も思う…そのコトがカラダだけでなく心までもホッコリとさせてくれる…

無邪気な笑顔も、｢太輔…｣と呼ぶ時のなんとも言えない甘さを含んだ声も、全部全部オレだけのモノ…それが何よりも嬉しいと思う…

７年前、《別離の日》になったオレ達の《クリスマスイブ》…、でも、今日からは二人で過ごす《再愛の日》になる

窓際に飾ったクリスマスツリー…

自ずと視線はソコに向いた…
零れ落ちる白い光に彩られたツリーは、ホテル側に頼んで飾ってもらったオレからのプレゼント

部屋に入るなりとびきりの笑顔を見せてくれた宏光、流れ落ちる純白の光を｢雪みたいだ…｣と言ってくれた

明日は朝から出かける予定

やっと見せてやれる
やっぱ早く寝かせた方がいいか…


｢宏光、12時だ…｣

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