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Serenade:26 ページ28

帰りのタクシーの中でも、マンションに着いてからも太輔は繋いだオレの手を離そうとしなかった…

掌重ねから、指を絡めるカタチに変わる…キュッと指先に伝わる力が《もう離れない》と言ってくれてる気がした

エントランスを入り、エレベーターに乗る、
やっぱり繋いだ手は離れなくて…

じっとその手を見てると「気になる?」って声が聞こえた…

「…太輔とこんな長く手繋いでたコト無いから…オマエ歩くの早かったから、いつもオレ、ブレザーの裾とか袖とか持ってついて行ってた…」

少しだけ前を歩く太輔の背中、時々振り返ってオレを見てくれるのが嬉しかった…

「…そっか…そうだったな…」
「隣にいるのが、すげぇ…新鮮…」

なんとなく…忍び笑いが零れた

「すぐ慣れるよ」
声のすぐ後に、エレベーターの扉が開いた

この階は太輔の自宅だけ…
エレベーターから見える玄関ドアが、なんだかとても懐かしく思えた…

「ウチに帰ってきたな…」
「…ん…」

カードキーを差し込むと、電子音がしてドアが解錠された音がした

そして太輔がドアを開け、促すようにオレを見つめた

その1歩が踏み出せなくて、立ち止まったまま部屋の中に目をやる、…残像の様に目の前に見えたのは、自分の身に起きた真実を知らされ、全てに絶望して出ていく自分の姿だった

泣きながら、オレの横を通り抜けていく自分…
思わずその後を追いそうになり、視線の先に向かおうとしたオレを、繋いでいた手がキュッと握られた

ハッとして隣を見ると、そこには全てを包み込むような優しく暖かな笑顔を浮かべた太輔がいた

「…振り返るな、前だけ見てろ…隣にはちゃんとオレがいる…」
「太輔…」

「ココが、オレ達の家だ…」

繋いだ手…その手がそっと口元に持って行かれオレの手の甲に唇が触れた




月明かりだけの部屋…


交わす視線…

そこに見えるお互いの気持ちは、あの日…

金木犀の香りの中で出会った瞬間と同じだった


《やっと会えた…》

巡り会うべき人…

その人はもういないと言われても、どうしても信じられなくて…瞳を閉じれば笑顔が浮かぶから…… 耳を澄ませば声が聞こえるから…

恋しくて恋しくて…切なくて……

どんなに会いたいと願い続けただろう


その人を求めて…その人が欲しくて……手を伸ばして…


その手は…再び繋がれる…


「7年、待たせてゴメンな…戻ろう…」

「…太輔……」


広げられた手…優しい眼差し…

「…おいで…」


躊躇いは…もう何一つ、無かった…

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GAYASAKURA(プロフ) - pochiさん» こんばんは!連コメありがとうございます!どうにかこうにか無理やりこじつけました!お目付け役の許可も出たので《姐さん》まっしぐらwもはや元ネタ要素はどこに…www宜しければ最後までお付き合い下さればと思います、コメ大感謝です! (2017年4月10日 23時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
pochi(プロフ) - |д・) 今さらですが…元ネタ知らないです(笑)なのでいつも通り新しいお話として楽しんでます(*´艸`)移行!!いっくらでもしちゃってください!!! (2017年4月10日 0時) (レス) id: 346d44f458 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - pochiさん» こんばんは!連コメありがとうございます!ネタバレ続いておりますwwでも話数に収まるかめっちゃ不安…残り4話、ヤバいかもです!あーどうしよ焦焦、移行になったらゴメンなさい、そしてつまんなかったらもっとゴメンなさいです!コメ大感謝です! (2017年4月9日 23時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
pochi(プロフ) - 連コメごめんなさい!Σ(゚∀゚ノ)ノこんなところで宏光の名前が…!まさか同じ世界世界の住人!?めっちゃ気になりますー!!! (2017年4月9日 18時) (レス) id: 346d44f458 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» こんにちは!コメありがとうございます!あは、どうにか《first end》まで辿り着けましたwwココからちょこっとだけ《姐さん》への道を追加します、final endまで宜しければ覗いて見て下さると嬉しいです!コメ大感謝です! (2017年4月9日 16時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:GAYASAKURA | 作成日時:2017年3月21日 16時

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