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Serenade:21 ページ23

「ミツ、お風呂できたよ、先に入んな」
「あ、…うん、ありがと」

ノックしてドアを開けると、布団の上にポツン…と座ってるミツ…2LDKのオレのマンション、物置代わりにしてた部屋を片付けて、ミツが使えるようにした…一応テレビも置いてるけど、ついてるのを見たことが無い…

「音が無いほうが落ち着くんだよね…」

ヘヘッて笑いながらそう言うけど、オレが仕事でいない時間も、こうやってひっそりと息を殺すように過ごしているのかと思うと、ホントに切なくなる…

きっと無意識なんだろうけど、右手をバングルに添えて想いを馳せてるミツを見てると、《切なさ》以上に《儚さ》を感じてしまう…

求める人…会いたくてたまらない人がいるのに、オレのウチに連れてきてから、ミツはその名前を一度も口にしない…

だけど口にしない分…カラダの内側には、アイツへの想いが弾けそうなほど募っているんだろうと想像できる…

あの日…ミツが藤ヶ谷の元から出てきた日、夜遅い時間に着信があった

画面からミツだっていうのは分かったけど、耳に当てたケータイからは一言も声が聞こえなくて…、唯一聞こえるのは不規則に詰める息づかいと微かな啜り泣く声音…

何があったのかは、大方察しはついた…

「どした…」
「…ック……」
「ミツ…ゆっくりでいいから息吐いてみな…、聞いてるから…」

そう言うと少しの間の後、ハァ…と息を吐く音がした
「それでいいよ…話せる?」

促す様に尋ねると、まるで針の穴の様な小さな綻びから押し出すように発した、ミツの哀しい声が聞こえた

「……すけ…て…」
「…え…」
「ツ…ック…たすけ…て…ッ…タマ……ック…」

ミツがこんなことを言うのは初めてだった

「大丈夫」「へーき」「心配すんな」…幼い頃からミツはそう言って全てを自分一人で受け止めていた…辛くても哀しくても…寂しくても…

限界なんだな…オマエ…

「今どこ?」
オレの問いかけに、ミツの嗚咽が大きくなった
「…も…分かんね…よ…ドコにいるのか……ドコに…向かってんのか……全然…わかんね…ッ…ック…」
「迎えにいくから場所教えて!」
「タ…マ…」

泣きじゃくる声の後ろで、電車の走り去る音が聞こえる…駅か……藤ヶ谷と暮らしてるなら、近くにはあの駅しかない

「動くなよ、すぐ行く!」
その日実家にいたのが幸いした

車で駅に着くと、ミツは駅構内のベンチに座って虚ろな瞳を線路に向けていた

その手を握った…



「…行き場が無いなら、おいで…」

Serenade:22→←GAYASAKURAです。。



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GAYASAKURA(プロフ) - pochiさん» こんばんは!連コメありがとうございます!どうにかこうにか無理やりこじつけました!お目付け役の許可も出たので《姐さん》まっしぐらwもはや元ネタ要素はどこに…www宜しければ最後までお付き合い下さればと思います、コメ大感謝です! (2017年4月10日 23時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
pochi(プロフ) - |д・) 今さらですが…元ネタ知らないです(笑)なのでいつも通り新しいお話として楽しんでます(*´艸`)移行!!いっくらでもしちゃってください!!! (2017年4月10日 0時) (レス) id: 346d44f458 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - pochiさん» こんばんは!連コメありがとうございます!ネタバレ続いておりますwwでも話数に収まるかめっちゃ不安…残り4話、ヤバいかもです!あーどうしよ焦焦、移行になったらゴメンなさい、そしてつまんなかったらもっとゴメンなさいです!コメ大感謝です! (2017年4月9日 23時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
pochi(プロフ) - 連コメごめんなさい!Σ(゚∀゚ノ)ノこんなところで宏光の名前が…!まさか同じ世界世界の住人!?めっちゃ気になりますー!!! (2017年4月9日 18時) (レス) id: 346d44f458 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» こんにちは!コメありがとうございます!あは、どうにか《first end》まで辿り着けましたwwココからちょこっとだけ《姐さん》への道を追加します、final endまで宜しければ覗いて見て下さると嬉しいです!コメ大感謝です! (2017年4月9日 16時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:GAYASAKURA | 作成日時:2017年3月21日 16時

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