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Serenade:2 ページ3

「ただいま…」
「あ、やっと帰ってきやがった、おかえり太輔、仕事お疲れだったな」

病室に戻ると、宏光がオレの帰りを待ちかねたような笑顔で玉森が来たと教えてくれた

楽しそうな笑顔…
この笑顔を見てるだけで、オレは幸せだと思えた

だけど頬の鬱血はまだ残っていて、イヤでもあの日の宏光をオレに思い出させた…

抱き締めたい…けど、触れたらきっと…
そう思うと怖くて踏み出せなかった

「…どした?太輔…」
心配そうに表情を曇らせ、オレに手を伸ばしてくる、もしかしたら…と伸ばした指先が宏光の手に触れる…その瞬間、ビクッと宏光の手が反応し、すぐに胸元にその手を引っ込めた

「あ、…オレ…なんだろ、ヘヘ、なんか変だな…」

戸惑いを隠せない表情が、ホントに哀しかった…

ベッドに戻ると、顔を逸らしまた鼻までブランケットで覆ってしまう…どうしたらいいのかわからない…その仕草が伝えてきていた

ベッド脇の椅子に座ると、オレはその顔を覗き込んだ、絡む視線…寂しそうに瞳が微かに揺れていた

「宏光…」
「ん?」

「…オレと、一緒に暮らさないか…」

「え?」
「あのマンションさ、オレが高校の時暮らしてたの…覚えてるか?」
「う…ん」
「あの部屋な、オレが買い取ったんだ…あの部屋でオレと暮らそ?そしたらオマエ学校も近くなるし…何よりずっと一緒にいられるだろ、イヤか?」

クス、ホントにビックリした顔で、オレを見てる…
でっかい瞳が、よりまん丸になってて…

「でもあの部屋…相澤先生処分するって…」
「うん、でも元々ウチの組が所有してたしな、オレ名義で買い取った…だからもうあの部屋はオレのもん!誰にも遠慮しなくていいから、オレと暮らそ?」

「…いいの?オレ、太輔の傍にいても…」
「当たり前だろ、長い間待たせて悪かった…どこにも行かずに、オレが戻るの待っててくれてありがとな…」

「…太輔…ッ」
「一緒にいよう…」

涙を浮かべ何度も頷く宏光…

やっとその日が来た…
だけど、その涙を拭ってやることが今のオレには出来ない…

目の前にいるのは、触れたら壊れてしまう宏光
脆いガラス細工のような心が、オレは怖かった


抱きしめたくても
奪いたくても…


許されない今の宏光…


それでも構わないと思っていた

オレの隣で笑っていてくれたら


それでいいって…




だけどオレのこの決断は、結局…宏光を傷つけるコトになった…


振りほどかれた手…
泣きじゃくるアイツを…

オレは、手離すしか無かった…

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GAYASAKURA(プロフ) - pochiさん» こんばんは!連コメありがとうございます!どうにかこうにか無理やりこじつけました!お目付け役の許可も出たので《姐さん》まっしぐらwもはや元ネタ要素はどこに…www宜しければ最後までお付き合い下さればと思います、コメ大感謝です! (2017年4月10日 23時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
pochi(プロフ) - |д・) 今さらですが…元ネタ知らないです(笑)なのでいつも通り新しいお話として楽しんでます(*´艸`)移行!!いっくらでもしちゃってください!!! (2017年4月10日 0時) (レス) id: 346d44f458 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - pochiさん» こんばんは!連コメありがとうございます!ネタバレ続いておりますwwでも話数に収まるかめっちゃ不安…残り4話、ヤバいかもです!あーどうしよ焦焦、移行になったらゴメンなさい、そしてつまんなかったらもっとゴメンなさいです!コメ大感謝です! (2017年4月9日 23時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
pochi(プロフ) - 連コメごめんなさい!Σ(゚∀゚ノ)ノこんなところで宏光の名前が…!まさか同じ世界世界の住人!?めっちゃ気になりますー!!! (2017年4月9日 18時) (レス) id: 346d44f458 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» こんにちは!コメありがとうございます!あは、どうにか《first end》まで辿り着けましたwwココからちょこっとだけ《姐さん》への道を追加します、final endまで宜しければ覗いて見て下さると嬉しいです!コメ大感謝です! (2017年4月9日 16時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:GAYASAKURA | 作成日時:2017年3月21日 16時

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