RHAPSODY:30 ページ44
オレの知ってる雅喜さんの居場所は、あのオフィスだけだった…
とるものもとりあえず、ソコへ向かう
電車に乗り、最寄り駅に着く頃には雨が降り出していた…本降りの雨、気持ちばかりが焦ってしまい、オレは駅からオフィスビルに向かって走り出した
傘もささずに通りを走り抜けるオレを、行き交う人が振り返る様にして見てくる
構うもんか
今は、すぐにでもあの人に会いたい…ッ
見覚えのあるビルの外観が視界に入ってくる
前に来た時は、華やかな雰囲気のあるビルだったけど流石に今はショップは全て閉まってて
エレベーターへ向かうガラスドアも固く閉ざされていた…
「…だよな、もうこんな時間だし…」
最上階にあるオフィスの明かりもココからは見えなくて、勢いだけでココまで来てしまった自分が少しだけ惨めに思えた
デザイン性の高いビル…降り続く雨を避けるスペースもほとんど無くて、僅かな空間に身を寄せた
「TEL…出てくれるかな…」
祈るような想いで通話をタップし、耳に当てる…
5回目のコール…、やっぱり繋がらないのか…
頼む出てくれ……ッ!
瞬間コール音が止み、躊躇いを感じさせる間の後、声が聞こえた…
「…北山さん……?」
間違いなく《その人》の声だった
ちゃんと繋がってることにホッとして、オレは無意識に大きく息を吐いた…
「…どうしたんです?こんな時間に、何かあったんですか?」
表情まで見えるようなその声音が、その人への想いを募らせる
「…会いたいんだ…、会いたい…ッ…」
滴る雨粒が、幾筋も髪から頬に流れてくる…ソレは体温と同じ水滴に混じり合いながら、頬を伝い零れ落ちていった
それ以上何も言えなくて…
微かに聞こえる互いの息遣いだけが、今のオレと《その人》を繋ぐ唯一の絆に思えた
「…ゴメンなさい、今は会えません…」
苦しい息遣いの合間に、無理やり絞り出すような声で拒絶が返ってきた
「イヤだ…」
「菜月と約束したんです、全てが終わるまでアナタとは会わないと…だから会えません…」
「会いたい…」
「ムリです……僕は行きません、早く帰って…」
頑なにオレを遠ざけようとする声が、悲しく耳に響く…
オマエは本当に太輔なのか?
もしそうなら、オレは…
閉じ込めた想いが、オレの心に悲鳴をあげさせる
「…7年待ったんだ…待つのはもう…イヤだ…」
「北山さん…?」
「オマエが来るまでココにいる…どこにも行かないから…オレを迎えに来いよ…ッ、……太輔ッ!」
333人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» と思っております!予定通り移行になりました!宜しければ続き覗いてみて下さればと思います!コメ大感謝です! (2017年3月11日 16時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» こんにちは!いつもコメありがとうございます!はい、かなり無理やり感ありますが、戻しちゃいましたw、ユリ姉さんのネタバレからまた色々ハプニングが起こります、元カノがちょっと…でも主要人物は《みんないい子だよ!》がテッパンなので、なんとかなるのでは (2017年3月11日 16時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - keiさん» ホントにゴメンなさい!ココから辻褄合わせのネタバレ展開になりますw、そしてそして元カノが何やら…宜しければ続き覗いてみて下さいね!コメ大感謝です! (2017年3月11日 16時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - keiさん» こんにちは!こちらこそ初めまして!ウチの藤北ちゃん気に入って下さってホントに嬉しいです、ありがとうございます!はい、ちょっとアッサリ記憶戻しすぎたかなぁと思っていますが、こうでもしないと次の展開に行けないのでもしか《??》になられてたら (2017年3月11日 16時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃん(プロフ) - こんにちは。太輔君の記憶が戻りましたね。事故の真相や、菜月さんとの事等 解決しなければいけない事が多いので、大変だと思いますが ハピエになるために必要ですし、これからどうなっていくのか楽しみです。 (2017年3月11日 14時) (レス) id: 2a4d3f96ad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:GAYASAKURA | 作成日時:2017年2月25日 13時