I wish to be your only one … Re:turn ２

Re:８２ ページ36

璃久の様子がおかしい…

仕事の手を抜くことはモチロン無いけど、それ以外の時はボンヤリとした表情を見せることが多くなった…

何か悩んでるのは明らかで、一度聞いてみたけど案の定｢何もないです｣って、はぐらかされた

本人がそう言ってる以上、問い詰めることも出来なくて、所長が何か知ってるかもと尋ねてみたけど｢本人が何も無いと言ってるならそうなんだろう｣と返されただけだった

璃久は子どもじゃないし、他人のオレが立ち入無いこともあるよな…て様子を見ることにしたんだけど、やっぱり心配で…

｢…そうか、葉山くん心配だな…｣
｢うん、来週保育園の地鎮祭だしな、璃久がウチで手掛けた初めての作品だから、参加させようと思ってる｣
｢いいんじゃないか、着工を目の当たりにすれば気分も変わるだろうし｣

｢だといいんだけどな…｣

ホッてため息ついたオレを、ソファに座ってた太輔が手招きした

風呂上がり…傍に行くと手を引かれ膝の上に乗せられる、子どもにするみたいに足まで持ち上げられ横抱きにされ、そのままキュッと胸の中…抱き締めてくれる

顔を上げると、優しい笑顔がそこにあった

｢…今はオレだけ見て…藤ヶ谷宏光さん…｣
改めて太輔に｢藤ヶ谷｣と言われると、めちゃめちゃ恥ずかしくて、でも同じ名前なのが幸せで…

｢ずっと、《藤ヶ谷太輔さん》しか見てない…｣
｢ﾌﾌ…《さん》付けは新しいな♥｣

きっと赤くなってる顔を隠す様に肩口に顔をくっ付け、頬を擦り寄せた…


いつも付けてる香水と同じ香りのボディソープ

｢太輔、いい匂い…｣
｢ひろもいい匂いする…オレの好きな香り…｣
｢まだ風呂入ってないよ｣
｢そのままでもいい香りするよ…｣

ﾁｭ…て鼻先に軽いキス、そして額、瞼…両頬から……耳朶…キスはそこで止まる

｢も、違う…｣

欲しい場所を教える様に、オレは太輔のふっくらした唇に視線を向けた

気付いた…と言うか気付いてて焦らしてるＳな太輔

人差し指がオレの唇に触れ、形をなぞるように左右に移動し、指先がそっと唇を割って入ってきた

｢絡めて…｣

アツいオスの視線…言葉通り弾力のある柔軟な動きを太輔の人差し指にねっとりと絡めていく…

誘うように…焦らす様に…

そして、太輔の目を見ながら…


引き抜かれた人差し指…名残惜しげに透明な艶が残る指先を、太輔が意味ありげに口に含む…

ソレが何を表してるのか…


｢…ｸｽ、お風呂入っておいで…続きはベッドでな、…待ってる…｣

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