I wish to be your only one … Re:turn ２

Re:７３ ページ27

｢おはよ！｣

始業開始15分前…、ドアが開いてチーフの声が事務所に響いた

全員が一斉にドアの方を向く

一矢乱れぬ集中視線に、チーフがギョッとした顔になった

｢な、なに…どしたの？｣

｢え、チーフッ？今日出勤して来て大丈夫なんですか？昨日倒れた上に城島さんトコまで行って…｣

安井さんが直ぐに近寄り、チーフのオデコに手を当てた

｢あ、熱は無いですね、良かった…オレ達、チーフは今日はもうお休みかと…｣
｢熱なんか出してねぇよ！寝たらソッコー回復！まだ若ぇしッ！｣

ニコニコしながら、事務所のみんなを安心させる様に頷いてみせてる

そのチーフに、岸さんが半ベソでチーフに抱きついた

｢チーフ、ホントにありがとうございます！オレ…もしあのまま城島さんと契約切られたらどうしようって…すげぇ怖くて…ッ、…ホントに申し訳ありませんでした！みんなもホントに、オレのせいで…ゴメンッ！｣

チーフに頭を下げ、事務所全員の顔を見ながら頭を下げる岸さん…

チーフは、そんな岸さんを穏やかな笑みを浮かべて見ていた

｢岸、もういいって、…次から気をつければいい、最終確認しなかったオレも悪いんだ、あーもぉ泣くなって！、又みんなでさ、今日から頑張ろうぜ！｣
｢はい…もう絶対、肝に銘じてしません！｣
｢うん、…ならいいよ、ほら全員仕事に戻ってくれ！…オレが帰ってから変わったこと無かったか？｣

岸さんの頭をポンポンてして、チーフは事務所のメンバー一人一人の今抱えてる依頼の進捗を確認していった


いつものチーフがソコにいた…

真剣な表情で、各個人の図面や企画書に目を通していく…そこに昨日までの疲れた表情はどこにもない、自分が次にやるべき事をすべて把握してる《建築デザイナー》の顔をしていた

オレがあの人のチカラになれるコトなんか、一つもない…

大学で取った肩書きなど、何の意味も無さないことに虚しさを覚えた

保育園のプランニング模型を作ってると｢葉山｣
とチーフの声がした

顔を上げるとすぐ傍にいる


｢あ、はい…何でしょうか｣
｢昨日心配かけてゴメンな、いきなり倒れてビックリさせたよな…｣

恥ずかしさと申し訳無さが入り混じる苦笑いを浮かべてる

｢…心配しましたよ、あんな状態で城島さんトコ乗り込むなんてムチャし過ぎです、なんかあったらどうするつもりだったんです？｣

予想だにしなかったチーフの行動
コトの顛末を所長から聞いた時は、チーフを行かせた藤ヶ谷さんに怒りすら覚えた

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