I wish to be your only one … Re:turn ２

Re:６１ ページ13

山口さんの背後…社屋から出てきた背の高い男性二人…

城島工務店三代目社長の城島さんと棟梁の長瀬さんだった

何度会っても、迫力パない…
背が高いのもあるけど、いわゆる《匠》と呼ばれる人特有のオーラと言うか、自分にも仕事にも確固たる信念と自信を持ってるのがダダ漏れ
していた

｢さっきからうるさいぞ、達也｣
｢達つぁん、手こずってんな｣

含み笑いを浮かべ、オレと山口さんを交互に見ながら2人が声掛けてきた

｢ああ？…コイツしぶとくてさ、いくら言っても帰らねぇし困ってんだよなぁ｣
｢みたいだな…中で聞いてたけど、ﾌｰﾝ、…女みてぇなカワイイツラしてる割に言うことオトコマエだ…アンタさ一回メシ食ったことあるよな？｣

ずいっと顔を寄せられて、その迫力に無意識に体が後退しそうになるけどナメられてたまるかと、オレは目を反らせることなく長瀬さんの顔をガン見した

ﾌﾝ…て長瀬さんの口角が上がる

｢はい、堂本チーフがおられる時、一度ご一緒させて頂きました｣
｢そうだったな、あん時は借りてきた猫みたいに大人しかったけど、けっこう言うのなアンタ｣
｢思ったことをそのままお伝えしました、…出過ぎたコトを申し上げていたらお詫びします、ですがウソは何一つありません｣

ヤケクソ…て言うより、このチャンスを生かせなければもうオレには何一つ手が無い…
この瞬間、必死でこの三人に食らいつくしか無いと思った

｢アンタさっき面白いコト言ってたな、人生の設計図とか繋ぐとか…どういう意味？｣

長瀬さんが白いタオルを巻いたアタマを傾け、オレの目を見て聞いてきた

その目は、さっきまでの射るような鋭い視線じゃなくて…何かを懐かしむような優しい色をしていた

その目を見てると、考えるよりも早く、声を出していた

｢…オレ、夢があるんです…大切な人との《コレマデ》と《コレカラ》を繋ぎたいって…時間は決してカタチにならないけど、その人と過ごした空間はずっと残すことが出来る…そこにはいつも大切な人と作ってきた想い出や、生まれてきた家族…訪ねてくれる仲間がいます、暖かな想い、優しい気持ち……その中で育まれる絆、ソレは人生のタカラモノです…オレは、ウチに設計を依頼してくれる全ての人に、一つでも多くのタカラモノを見つけてほしい…いつもそう思って図面を引いています……ですが図面はあくまでも一枚の紙です、それをしっかりと、この先も居心地のいい空間に出来るのは、実力のある《匠》しかいません…｣

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