I wish to be your only one … Re:turn ２

Re:５９ ページ11

宏光を連れて部屋のドアを開けた…

そこにいたのは葉山だった
多分いるだろうと思ってたから、そんなに驚きはしなかった…

酷く傷付いた表情で、オレ達を見ていた…

今まで真っ向から《宏光をオレにくれよ》と言ったヤツは一人もいなかったから、正直オレは戸惑った…奪われる気なんか毛頭無いし、ましてや黙って渡す気なんかさらさらないけど、一途に向けてくる想いが、ホンの少しだけオレを不安にさせた

ひろはさっきの葉山の言葉を知らないから、先に帰ることへの詫びを口にしてたけど、オレはあまり二人に話をさせたくなかった…

大人気ないと思いながらも、遮るように宏光をオレの方に寄せ、お義父さんに挨拶をすることも無く早々に事務所を後にした


オレは怖いんだろうか…
アイツの宏光への想いは、どこか昔のオレと似ていた…深くて激しい、どうかすれば独占欲を剥き出しにしそうな危うさがある…

想いの透明度が高い分、研ぎ澄まされた怖さがあった…


今のオレには、きっとそこまでの激しさは無い…
オレが出来るのは、見守ることだけだから…宏光が宏光らしく生きていけるよう、隣でずっと見つめててやることしか出来ない…寒ければ体温で温めて、躓いたなら立ち上がるのを隣で待っててやる…
傷付いたならその痛みを半分に…

オレがしてやれるのはこれくらいしかない…

求める愛が全てだと思ってた時もあったけど、今となっては遠い昔の様に思える

年取ったのかな…なーんて…

｢太輔…｣
｢ん？｣
｢オレに、…勇気くれる？｣

助手席で、膝に置いた手をギュッて握ってる宏光…

コイツが今何がしたいのかは、その仕草で察しがついた

｢いいよ…｣

オレにしてやれるのは、こうして震える手を握ってやることだけだ、ここから先は宏光だけのテリトリー…オレができることは何も無い

｢どこに行けばいい？どんな《でぇと》プランも受け入れますよ！オレのヨメさん！｣

｢ヨメ…ｸｽ、まあそれでいいか……なら、…オレが今からナビに入れるトコ、つれてって…｣

そう言って、タッチパネルに住所を入れていく


その名前を見て、やっぱりオレのヨメは最高だと思った…



｢城島工務店な…おっけ！｣



信号でUターンをした時、ヒロの口角がキュッと引き結ばれた…

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