I wish to be your only one … Re:turn ２

Re:７８ ページ32

｢これでデザインと設計…全部済みましたね｣

｢うん、…なんか色々あったけど、その分思い入れのある作品になったなぁ…順調にいけば夏前には完成かな｣

｢子ども達、喜びますね｣
｢そだな、…喜んでくれるといいと思う｣



施工は予定通り城島工務店さんが請け負ってくれることになった

赤い壁に似合うメープルブラウンの三角屋根…窓枠と出入口は白…

ドールハウスの様な外観と内装を、あの強面の《匠》達が作り上げていくのを想像すると少しだけ笑みが浮かぶ…

素案を提出した時

｢ふーん、いんじゃねぇか？オレ好きだな、こんな感じ ｣
｢ホントですか？よかった｣
｢おう、この部屋とか…天井のデザイン凝ってんな｣
｢ありがとうございます！ソレはオレのデザインです、棟梁に気に入って頂けて何より嬉しいです｣
｢そうか、なんかオマエっぽいわｗ、そか、プレイルームの壁…スポンジのパズルを埋め込むのか、クオリティ高ぇな｣
｢ソレはウチの新人がデザインしました、全部嵌め込むと音楽が鳴るらしいです｣
｢へぇ、よく考えてんな｣

少しだけ遊びココロを入れませんか？という璃久の意見で設置が検討されクライアントさんにも好評だった

｢まあ、オレらもやるからには徹底的にやらせて貰うわ、フフン、…べっぴんオトコマエチーフとの仕事、楽しみだな｣

なんかちょこっと…いや、だいぶ気になる形容詞だけど、まあいいとするか

後日太輔にその話をすると、

｢ねぇオレ、その長瀬棟梁って人に挨拶しとこかな、ウチのヨメがお世話になりますって、ダメかな？｣

って真顔で言うから、ソッコー拒否っといた
時々太輔の思考パターンはイミフな狂いをみせるんだなぁ…

｢絶対2人だけになるとかダメだかんな！｣
｢なんねえよッ！｣
って、やり取り何回したかな…

ﾌﾌ…て思い出し笑いすると、璃久に

｢ホント、わかりやすい人ですね…｣と半分呆れたような声で言われた


｢何が？｣
｢…オレの母さんが、チーフと同じ顔して微笑んでました…親父の作った建物の写真見ながら…｣
｢そうか…｣

｢…あの時は、母親の笑顔の意味が分からなかった…でも、今は何となく分かります…親父のコト、愛しい…て、そう思ってたんだろうな…って…｣

｢璃久…｣

｢チーフも、同じ顔してるから…｣

そう言って、切なげな表情がオレを見つめてた…



｢…璃久、…オマエ、親父さんと会わなくていいのか？…オヤジさんへの誤解はもう解けたんだろ？会って話をしてきたらどうだ？｣

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