I wish to be your only one … Re:turn ２

Re:６５ ページ18

｢そうですね…｣

｢事務所を辞めようと決めた時、次のチーフを誰にするかオレはとても迷ったんだ、オレの下には若手しかいなかったからな…所長と相談した中には他の事務所から実力のあるデザイナーをヘッドハンティングしようと言う案もあった、だけど最終オレは北山をチーフに指名した…なぜだか分かるか？｣

｢…いえ…｣

｢北山にはキミがいたからだ…｣
｢オレ…ですか？｣

堂本さんから伝えられたその言葉に、オレは戸惑った

｢そうだ、…北山はまだ若いし未熟だ、経験不足から来るトラブルも懸念されていた…けど、アイツは君と再会したコトでとてもメンタルが強くなった、少しのコトではへこたれない、どんなことがあっても、前だけを見てしっかり道を作ることが出来る様になった、それはきっと振り返った時、必ずキミがいてくれると言う安心感がそうさせているんだと思う、経験と技術は時間が解決してくれる、けど心の強さはその人次第だ、…北山の未来予想値を上げるには、太輔くんの存在が不可欠だ、北山を支えてやって欲しい、きっと北山はクライアントの心に添えるいいデザイナーになる…仲間と事務所を全力で守れる最高のチーフになるとオレは信じてる…｣

一言一言、噛み締めるように伝えられるその言葉に包まれた堂本さんの想い…ホントは今でも傍で後輩の成長を見届けたかっただろう、だからこそその想いを宏光に託し引き継がせ、関西に帰っていった

何かあれば必ず力になってくれる頼もしい存在、オレにとってのサラとボス…なのかな

｢頼むな…太輔くん｣
｢はい、必ず…全力で守ります、例え何があっても、最後まで宏光の傍にいます…｣
｢うん、なら安心だ、…北山にはTELはいいと言っておいてくれ、今日くらいは太輔くんに甘えさせてもらうのもいいだろうから！お邪魔はしないよ！｣

｢…なんすかソレ？｣
｢いや別に…ああ、そう言えば長瀬棟梁な、男にも女にもめっちゃくちゃモテる人だから、北山に気をつけろって言っといてー｣
｢げっナニソレ、いきなり仕事させたくなくなるんですけどぉ！？｣
｢あっはっは、ウソウソ、北山宏光が藤ヶ谷太輔以外に目を奪われたとしたら、その瞬間世界は闇に包まれる時だ、そうだろ？｣
｢ちょっとナニ言ってるかよくわかんない…とりあえず気をつけるように言っときます、ご忠告ありがとうございます｣

｢ま、明日も仕事だからその辺程々にしてやってくれ、じゃあな、また関西に二人で来いよ、京都案内してやるから！｣

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