雪華 … Snow Crystal ３

１３１話 ページ39

相澤センセイが話してきたことは、きっと事実の半分にも満たないんだろうと思った

きっと太輔には、オレなんかが想像もつかないような哀しい過去があるような気がした…そのコトが素の太輔を誰にも見せない奥深い場所に隠し、鉄壁のガードを強いている様に思えた

｢…オレは、今の太輔を作ってるのがその過去だと言うなら、それゴト…愛してるんだと思います…上手く言えないけど、今の大輔のまんまでいいと思うから…その過去があるから、オレの好きな太輔なんだと信じられる……、答えになってますか？｣

自分の語彙力の無さに落ち込むけど、思ったことそのまま伝えた…

相澤センセイは、黙ってオレが話終えるのを待ってくれた…そして、シュッとしたキレイな瞳から零れる涙を見せないように俯き…一言｢…ありがとう…｣と言った


｢相澤センセイ、泣き虫なんですね…｣

太輔に慰められてたあの日を思い出した…

｢…ﾌﾌ、年のせい…て言わせたいの？やっぱdisってるよね？｣
｢違いますって！｣
｢まあいいわ…キミなら許す！…北山くん、太輔をお願いね、《コワレモノ》だから取り扱い要注意なトコもあるんだけど、もうキミは無意識にトリセツ持ってるみたいだから…｣

トリセツ…？

｢…誰かを一生懸命信じてる気持ち、…お願い、この先なにがあっても…太輔を信じてあげて欲しい…｣

｢…はい…｣

そう答えると、目の前の人は本当に心から嬉しそうに笑った

果てしなく距離を感じていた相澤センセイが、少しだけ近くに感じられた


｢クリスマス…雪の結晶見に行くんだっけ？｣
｢…知ってるんですか？｣
｢太輔に聞いたわ……その費用作る為にあの子バイトしてるの、…知らなかった？｣

バイト…？

｢知らなかった…｣

だから、学校済んだらすぐ帰ってたんだ…

｢あの子、有り余る程生活費は渡されてるの…だけどそのお金で北山くんと過ごすのは絶対イヤだって言ってね…、自分の力で稼いだお金でアナタとクリスマスの思い出が欲しいって…休みも取らず寒い中頑張ってる…｣


なのにオレ…あんなコト言って、太輔悩ませて…

｢太輔、ドコでバイトしてるんですか？｣

相澤センセイに尋ねると、

｢自分の目で確認したら？｣と言われた




｢明日連れて行ってあげる、あの子の事だからきっと明日からまたバイト行ってるわ、ホント北山くんのコトになると、どこまでも手を抜けないのよね…太輔は！｣

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