雪華 … Snow Crystal ３

１１２話 ページ20

昼から太輔の姿が見えなくなった…

何となく行先はわかる…横尾さんが先生に｢藤ヶ谷体調不良で…｣て伝えてるけど、この理由ももうネタ切れだよな…

先生も半分呆れ顔…

オレと絡まないのはいいとして、横尾さんが困ってるのを見てるのが忍びなくて…

こんな風に友達に尻拭いさせてる太輔にも、オレはちょっと腹立ってた

そして今日も６限目が終わる…

｢ミツ、一緒に帰ろ、今日部活無いだろ｣
｢ん、…でもちょっと用事あるから今日はゴメン｣

それだけ言って、オレは太輔がいるであろう場所に向かった

保健室…




絶対アソコで爆睡してる

今日も眠そうな顔して登校してきてたし…、部活も何もやってないクセになんであんな眠そうなのかオレ的に謎…



けど、

扉の前で、どうしても一旦躊躇してしまう…



相澤センセイと太輔…

そんなコトあるはず無いのに…


｢甘い関係望むなら、太輔とはやめたら？｣

この前のやり取りが、オレの記憶から戻って来る


あのヒトは、太輔の何を知ってるんだろう…
そもそも太輔と、どういう関係なんだ？


疑問符は消えなくて…



中にいるのが太輔だけならいいけど、迎えに来たのなんか見られたら、また何か言われんじゃないかってドアの前に立ち竦んでしまう


中を伺うように、少しだけドアに耳を近づけた…


話し声…聞こえる



女の人の声と、オトコの声…

相澤センセイと太輔なのは分かった



でも、2人とも声を潜めてるのか何を言ってるのかは聞き取れない


一か八か…少しだけドアを開けた

気づいてくれたら何よりそれがいい…


けど、オレの考えは見事に外れ中の2人はそのまま話を続けていた


ホントに細い隙間から、耳と目を研ぎ澄ますようにして気配と声を聞き分ける、こんなコトしてる自分が堪んなくイヤなヤツに思えた


｢…ユリちゃんは、オレの大事な人だから…｣



言葉の後に視界に入った光景……


茜色の光の中の2人…

……そか……



なんだろう…妙にストンとその光景は胸に落ちていった…




…オレの入る余地なんて無いじゃん…






クス…と笑みが浮かぶ…



柔らかいオレンジ色の光が、いつもより眩しく感じて…フワッとボヤける視界を遮る様にオレはその場を離れた…

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