雪華 … Snow Crystal ３

１１４話 ページ22

｢ちょ、離せよッ！｣

ほぼ無理やり連れてきた屋上…
宏光は突然のオレの行動に怒りまくってるけど、今はそんなコト構えなくて…

鐵柵に押し付けるみたいにして、とりあえず身柄確保…

けど、頑としてオレを見ない、そっぽ向いて不貞腐れた顔を隠すことすらしない

｢なんで避けんの？｣

｢……｣
｢オレがお前の誘い断ってるから？｣
｢…｣
｢宏光、オレ見ろよ｣

コッチを向かそうと頬を手を添えると、叩き落とすように払い退けられた

｢…オマエさ相手間違えてんじゃね？｣
｢は？｣

初めて見せられる宏光のキツい視線に、オレは戸惑いを隠せなかった

｢…慰めて貰いたいなら、その人のトコ行けば？｣
｢慰めて…？｣

｢オマエの色んなコト、100%満足させてくれるオトナの女？オマエにはその人が似合ってるよ｣

真正面からそう言い放つ宏光は、微かに口元に笑みまで浮かべていた

オトナの女？

｢…、あの時…｣

オレは、保健室のドアが少しだけ開いていたコトを思い出した

｢見てたのか？ユリといたトコ｣
｢…お似合いじゃん、オレなんかよりずっと…｣

一つ声のトーンが落ちる

｢…オマエさ、何回同じことすんの？｣
｢え？｣

｢菜月の時も同じこと言ってたよな、オレなんか…って、なんでオレのコト信用出来ねぇんだよッ！何をどう言えば、オレの言ってること信じてくれんだよッ！｣

伝わらないまどろこしさに、つい言葉の勢いがエキサイトしてしまう

｢なんだよ…ッ、オマエなんもオレに言わねぇじゃん！…眠いとか忙しいとか、部活もやってなくてサッサと家に帰っちまうヤツがなにが忙しいんだよッ！一体テメェはドコで何やってんだよッ！あのヒトとヨロシクやってんならそれでいいだろっ！｣


なんでそうなるんだよっ！？
オレがどれだけオマエのこと好きか…どうしたら分かってくれんだよ…ッッ！？



けど、お互いに譲らない部分、言えないコトがある



｢そうかよ…なら勝手にそう思ってろ！バカみつッ！｣
｢るっせぇよッ！クソ太輔ッ！｣


｢…ムカつく…ッ！｣

腹立ちMAXのオレ、

宏光鐵柵に押し付けたまま、アイツの唇に苛立ちをそのままぶつけた

｢…ッ、も、なに…ッ！｣

顔を振って逃れようとするけど、それ以上の力で押えつけてキスを繰り返す

強引だと思うけど、今のオレにはこうするしか想いを伝える方法がなかった

｢…たい、すけ…ッ！｣

渾身の力で、押し戻されるオレのカラダ





｢…これで分かんねぇなら、もう知らねぇよ｣

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