雪華 … Snow Crystal

３４話 ページ36

スペオキのメロンパンが買えて、ウキウキのオレ！スキップしたいくらい昼メシが楽しみで…けど購買から帰ってくるなり、教室のドアで誰かにぶつかった

相手は相当体格いい人で、オレは吹っ飛ばされて尻もちを付いた

抱えてたパンとカフェオレが床に落っこちる

あっ、てなったオレ…ぶつかった人はその場にいて見上げて顔を見たら、３年の黒崎センパイだった

イケメンで結構有名な人だ…身長は１８０越え

確か佐倉さんの元カレ…今カレは藤ヶ谷だから…


年上だしすぐ謝んなきゃって思って、めっちゃ怖い顔してたから、一応作り笑顔も加えといた、

ソレがいけなかったのか…黒崎センパイはオレをガン見してきて、そのあんま見たことない纏わり付くような視線にビクリとカラダが震えた

｢なつき？｣

黒崎センパイは、イミフな名前でオレを呼んだ

え？何言ってんの？オレの声なき声にきづいたのか、｢名前は？｣って聞かれて…特に何とも思わず｢北山…｣て言いかけたら、すぐ藤ヶ谷に腕引っ張られて、抱き締めるみたいに引き寄せられた

心臓止まりそうなくらいビックリして、藤ヶ谷見たけど、いつもよりもっと険しい顔して…オレと目が合うと苦しそうな顔になった

黒崎センパイは、オレ達を言いようの無い…気持ち悪い目で見てる…

藤ヶ谷がオレを抱きしめてるから…？

離してくれていいのにって思って｢藤ヶ谷…｣って言いかけたら、｢黙ってろッ！｣って、また怒られた…もうそれ以上藤ヶ谷に嫌われたくないから、オレはじっとしてた…

そのウチ、黒崎センパイに向けてたオレの顔を、後ろ頭に手を置いて反対側に向けさせられる…そのままギュッて…藤ヶ谷の心臓の音聞こえるくらい強く抱きしめられた…心拍数上がってんのはオレの方…藤ヶ谷に聞こえたらどうしようって、そればっか心配した…

｢じゃあな、藤ヶ谷…それから、北山？｣

黒崎センパイの声が聞こえるけど、表情はわからない…でも、スゴく…イヤな響きを含んでるのは感覚的に理解出来た

｢さっさと帰れ…二度と来んな…っ｣

そしてまた…藤ヶ谷の腕がオレを抱きしめてくる
まるで何かからオレを守るように…強く…固く…


どうしてだか、オレは泣きそうになる…

藤ヶ谷…ずっとこうしてて…
ドコにも行かないでよ…


ブレザーをキュッと掴むと、藤ヶ谷のカラダが身じろぎ力が抜け、呼吸がしやすくなった


甘い香りと温もりが離れてく…
名残惜しくて、藤ヶ谷の顔を見た…


開口一番


｢この…っ、バカッッ！｣

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