雪華 … Snow Crystal

１４話 ページ15

藤ヶ谷の表情が変わる

驚いた様な困った様な…そしてほんの少し頬が色付く……戸惑いの、カオ…

何か皮肉っぽい返しが来るものと思っていたオレは、その反応に逆にドギマギした

｢…え、…や、あの…そんなマトモに受け取られると…｣

モゴモゴ口ごもると、藤ヶ谷はハッと何か気付いた様に短く息を吸った

｢･･･っ、バカかよっ！ンなワケねぇだろッ！！｣
｢･･･アハ、だよな･･･ゴメン･･･｣

非常に気まずい沈黙…


オレ…怒らせてばっかだな……なんか凹む…

俯いて、ケータイをポッケに戻した


｢2時間…どうすっかな…｣
｢…うん…そうだよな…｣

なんかそれ以上伝える言葉も無くて、オレはまた、空に目を移した

虹はもう消えてしまった…でも、空は秋晴れのキレイな水色…所々に、尾を引いたような白雲があることで、より空色を際立たせていた

｢…サボるか…｣

背後から聞こえる声…独り言なのか、自分に言われてるのか分からなくて、オレは少しだけ藤ヶ谷の方に振り返った

視線はオレに向けられてる…よな

｢…お前、部活は？｣
｢今週は…無いけど…｣
｢このまま帰っても、どうせ昼過ぎの無断欠席扱いだ、反省文書くのも変わんねぇし、お前どうする？……一緒に…来るか？｣

躊躇いがちに、最後の言葉を付け足してくれた様に思えた

｢うん、行く！｣

そう言ってしまった後、無意識に口許が緩む…
藤ヶ谷は、そんなオレの表情の変化に不思議そうな顔してたけど、クスッて笑って

｢なんか楽しそうだな、お前…｣
て、言ってきた

｢え、…そう？｣
｢サボるの平気なんだ？｣
｢…｣

なんて返事すればいいんだ？
正直サボリはしたことない、そんなのめっかったら部活出禁どころじゃないし…でも今は…藤ヶ谷といられるのが嬉しいと思った

黙ってるオレに構うでもなく、藤ヶ谷はスマホ出して何やら操作してる、そのうち画面見ながら


｢公園あるな…行くぞ｣

と声を掛けてきた

相変わらず、スタスタオレの先を歩いてく


今気付いたけど、藤ヶ谷歩くの早ぇ…おっとりタマちゃんに慣れてるから、付いてくのキツい

スマホ見ながら歩いてるから、ずっと小走りで付いてってるオレの状況に気付いてくれない

くそ、やむなし！

｢待ってってば｣
｢おわっ｣

藤ヶ谷のブレザーの裾を掴むと、やっと画面から目を離しオレを見てくれた

オレの手の位置を確認すると、呆れた様な表情になる


｢…そういうコトしないの！｣
｢え？｣

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