雪華 … Snow Crystal

５話 ページ6

｢…ハァハァ……っ、なんでこのオレが…｣

学チャリ二ケツで爆走とか…バイクならまだしも…有り得ねぇだろ…


しかも初対面のヤツの言いなりとか…

名前も知らないヤローの必死な顔が浮かぶ
どんぐりみたいなでっけぇ目ん玉に、つい…


《お願いッッ！》

縋るようなその表情を思い出してしまった




｢…くだらね、帰ろ…｣

正門に戻ろうとチャリを反転させた時


｢お前、見ない顔だな、名前は？学年と組！｣

…さっき、アイツが《ゴジラ》って言ってたヤツか…


１８０越えの縦も横もデカいソイツ…上下黒のジャージきて、短めの髪にまあまあ精悍な顔つき…厳しそうだけど…人は悪くなさそうな…


モロ体育会系の、絵に書いたような熱血教師？て言うのか

チッ、…めんどくせぇ、帰れねぇじゃん


《坊、くれぐれも揉め事はご法度です！》

どこからかお目付け役の声がする気がして…


｢…今日から……ココに…｣
ボソリと言うと、少しだけソイツの表情が緩んだ

｢あー転校生か、なんだ、もう北山と友達になったのか？｣

ちょっと楽しそうなその表情はなんだ？

て言うか聞き捨てならないんだけど、あんな図々しいヤツと、このオレが友達なんかなるわけねぇじゃん

｢別に…友達なんかじゃ…｣
｢そうか？アイツ誰の懐にもすぐ入っていくやつだからな…｣

返事をする気にもならなくて、黙ってると


｢職員室行くぞ、付いてこい、…てか転校初日から遅刻たぁいい根性してんな、お前名前は？｣

さっきの北山とか言うヤロウのせいで遅刻なんだよっ！てよっぽど言ってやろうかと思ったけど、なんか…もうどうでも良くなって言うのヤメた…


｢…藤ヶ谷…太輔……です…｣


ゴジラの顔が、一瞬だけ変わる…




｢藤ヶ谷……？…そうか、お前か……｣

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