You are my everything ー キミ色の日々・３

COLOR １２１ ページ27

｢…太…輔…ぇ……｣


ヒロの世界は暗闇…、その中でもがく様に手探りでオレを求め、首元に深く腕を絡ませ、カラダをピッタリと添わせてきた


首元にヒロの頬が擦り寄せられ、キメの細かい滑らかな肌の感触が、否応なくオレを煽ってくる…



ダメだ……

このままだと、感情のままに、なし崩し的に抱いてしまう…

抱くにしても、オレはヒロの様子を確認しながらコトに及ばないと…


例え行為の途中であっても、ヒロの精神状態に変化があれば、すぐブレーキをかけなきゃいけないと決めていた


今からの《繋がり》は、ある意味《治療》みたいなものだった


｢ヒロ…オレここにいるよ…｣


背中を撫で、落ちつかせるように頬にキスを落とした


｢…ヤダ…ギュッてして欲しい…｣

掠れた声が、切ないワガママを強請ってくる…

言葉に通り、オレはヒロを腕の中に抱き込んだ


背中に回るヒロの手……オレのＴシャツを握り締め、肌にその指が食い込んで来るのがわかる

ピリッとした痛みが、背中を抜けていく


｢…太輔のカラダ、あったかくて、気持ちい……｣
｢…そか？…抱き枕にはピッタリだろ…｣


出来るだけ刺激しない様に、オレは言葉を撰びながらヒロをあやす様に声を掛けた…


｢キスして…｣

背中から離れた手が、空を切ってオレの顔に
触れてくる

望みを叶える為に、オレはそっとヒロの唇に自分の唇を重ねた…



深いキスは避けて

重ねるだけのキスを繰り返す


時折、薄く開くヒロの唇…欲しいキスはコレじゃないと、声なき声が聞こえる…



何度目かの触れ合いの後…



｢…ありがと……もう大丈夫…｣


自分から唇を離し、顔を背けたヒロは、オレの胸をそっと押し、身じろいだ


｢…ヒロ……｣


頬に当てたオレの手に触れ、ゆっくりソコから下ろさせると、小さく息を吐いた


｢もうへーき…だから……寝るよ…｣


へへ…って笑って、足元にズレ落ちたタオルケットを胸まで引き上げると


｢太輔も寝ろよ、…変な雰囲気にしてゴメンな｣

って言ってきた


そのハニカんだ可愛い笑顔は、いつものヒロが目の前にいることを、オレに伝えてきていた…


そして、その笑顔にホッとしてる自分がいた…




これでいいのかもしれない…




記憶が戻り始めているコトを知っていたのに、

オレは、その笑顔に自分勝手な《一縷の望み》を託してしまった…



まだ、大丈夫だ…、このキレイな笑顔が浮かんでる間は、ヒロの時間が戻るコトは無い……と…

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