You are my everything ー キミ色の日々・３

COLOR １０５ ページ11

おかしい…


いつもなら、手に取るようにわかるヒロの気持ちが、全く見えてこない…


何があった…？


｢…とにかく、これから行く、話しよう｣


ケータイを通話しながら、オレは目の前のバイクのカギを手に取った



オレが出ていく気配を感じたのか、ヒロの声が大きくなる…



｢オレは泣いてもないし、オマエが来る必要も無い、来んなっ！｣

｢ヒロ、今日何があった？…変わりすぎだろ、オマエ｣



ケータイを肩に挟み、イスにかけてあったジャケットに片袖を通しながら、オレはヒロに問いかけた



｢…変わったのは、太輔だろっ！｣



その言葉に、オレの手が止まる…





｢…オレのドコが？……何が変わったっていうんだ？｣



瞬間湧き上がる強い劣情…


オマエまで、そんなコト言うのかよ…っ


頭の中に、昼間の向井さんとの会話と向けられた冷たく、そして憐れむような視線が、オレの中に戻って来る…



《今のオマエは、従順な飼い犬だ…チームが望む、狡猾で獰猛なオオカミには戻れない》


《オマエを必要としてるヤツは、誰もいない…》


グルグルとその言葉が、オレの中で反芻される





｢……オレを盾にすんな…｣

｢は…？｣

｢自分の弱さを、オレを盾にすることで正当化すんなッ！！｣



投げつけられる言葉…目を見開いたオレの耳に、TELの切れた音と不通音だけが入って来る…





立っていられない程、カラダの力が抜け…オレはベッドに座り込みそのまま、倒れ込んだ…



何も見ないように、顔の上で両手を交差し視界を遮る…



頬を伝う…一筋の流れ……



｢…オレに…どうしろって……言うんだ…｣


無意識に出た呟き……一体オレは、誰に向かってこの言葉を言ってるんだ…



そして、どんな答えを…望んでるんだ？



無くしたくないと望めば望むほど、掴み取ろうと手を伸ばせば伸ばすほど、ソレは俺の指の間からサラサラと砂のように零れ落ちていく…



掴み取れない虚しさが…なお一層オレの心を這い上がれないほどの暗い穴へ落としていく…


もう…ムリなのか？





｢…誰か……教えてくれよ………ッ｣





やるさなさが…オレの全身を包む……




そして…






何もかも失ってしまうような…そんな予感がした……

COLOR １０６→←COLOR １０４

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す