オレだけの Candy Baby …３

love sweet candy … ９８ ページ7

「…オレはチーフに楯突いたことで、プロデューサーから降格になってな…しばらくはまた、パシリの日々だった…けど、絶対ココから這い上がるって決めてたから、回りが思うほどそこまで落ち込んではなかったんだ……自分なりに企画を作って、別のプロデューサーとかディレクターさんに見てもらったりしてな…採用はされないけど、あの時間、オレにはホントに大事な時間だった…降格させてくれたプロデューサーに感謝してるくらいだ……ユキトもいてくれて、…幸せだった…」

「だけど、…ユキはユキなりにオレを心配してたんだろう…オレの夢を一番よく知ってるのはユキトだから…」


「ある時、オレを降格させたプロデューサーに呼ばれてな…別ルートから回ってきたオレの企画を番組として立ち上げるって話になったんだ…ポジションも元に戻すって言われて…オレは喜んだよ…また好きな番組制作に携われるって舞い上がって…今考えると、変な話だよな…一年も経たない間に、戻れるって…その時気付けばよかったんだ…なにかおかしいって…」



「…違うな…気付いてたけど、見ないフリしてたんだ…戻りたい思いだけが先走って…ソコに何があるのか…考えないようにしてた…オレの罪だ……番組は反響を呼んで、オレは満足だった…達成感さえ感じてた……だけど、ある日、帰って来ないユキトを迎えに出たとき、あのプロデューサーと車に乗ってるユキトを見た……車から降りるとき、アイツにキスされてるユキトを目の前で見ちまってな……その時、オレの復帰と企画立ち上げは……ユキトがあの男に頼んだコトだと知った……自分のカラダ差し出して…オレを……」


《伊織は枕は絶対に許さない…どれだけの人が傷付くか知ってるから…》

ミサキさんの言葉…こう言うことだったのか…




「戻ってきたユキトをオレは責めた……オレの為にしてくれたのはわかってたけど……赦せなかった…、あの日、あの男の部屋で…いいように扱われてる女の姿とユキトが被って…ユキトを手離す選択肢しか、オレにはなかった……ユキトを赦したら…オレが最も嫌悪するやり方を認めることになる…自分のプライドの為に、オレはユキトの側から離れた…

…今も後悔してる…どうしてあの時、もっと話を聞いてやらなかったんだって…ユキトの思いを…ちゃんと聞いてやれば……ユキトは今でも、オレの傍で……生きていてくれたんじゃないかって…オレたちの探す光の果て…見つけられたんじゃないのかって……っ…」

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