オレだけの Candy Baby …３

love sweet candy … １１４ 《証》 ページ24

ユキトの…真実……？


ミサキが、言葉にならない訝しげなオレの視線に気付き、少しだけ頷くと前を見ろと目で促してきた……


スタンドマイクに手を添え、宏光と藤ヶ谷くんが、乳白色のピンスポットの中に佇んでいた…

歌に向けて集中力を高めてるのか、二人とも視線は少し下向きで…キュッと引き結んだ唇が印象的だった…


この瞬間から…目の前には、誰も入れない…二人の世界が出来ていた…




…イントロ部が印象的な、キレイなピアノの音がスタジオに流れる…

そして…曲とシンクロするように…

二人のバックに…オレの知らないテロップが映し出された…




…ラストストーリー……《証》…………


宏光独特の、耳に心地いい歌声がスタジオに響く…


♪━…今もこんなに
僕を埋め尽くしているこの想い
色褪せずに香る
柔らかい風が 胸の中を舞うように…



まるで、宏光の想いをそのまま受け取ったかのように…呼応する…柔らかい藤ヶ谷くんの歌声が…


♪ ━…いつもそうだろ
肩を寄せ合いながら歩いていた……その髪を……



「……ッ！…コレ…どうして………ッ？」


曲を彩るように映し出される、限りなく透明な青空…それは清々しい風の色さえ感じられるようなキレイな空色……


そして切り替わった映像…オレは目の前に映し出されたその人の姿に、驚きを隠せなかった…


「……ユキ…ト…ッ」


笑っていたのは…間違いなくユキトだった…



オレにカメラを向けられ…照れたように…ハニカミながら、微笑むユキトがいた…

『伊織もういいよ、よせって…』

小さく笑いながら伝えてくる声すら聞こえてくるような…その明るい笑顔に、オレはいつの間にか椅子から立ち上がり、食い入るようにスクリーンを見つめていた…


♪…流れる雲に未来を描いて……


また映し出される違うユキト……オレと同じブレザーの学生服を着て…卒業証書を手にしての
ガッツポーズ……

屈託のないその笑顔は、オレにユキトへの永遠の恋を覚えさせた…

あの日々から始まって…今も続いてるオレのユキトへの焦がれる想いを、二人の歌が一層募らせていく…




「……ユ…キ…ッ…」


無意識にその名前を呟いたオレを、ミサキが振り返った…


♪…また また 君が笑ってくれるなら
このすべて懸けて この声で伝えるよ……


「…伊織…ユキトは、いつだってアンタに微笑んでた…覚えてるでしょ、ユキトの笑顔…」



そう…

いつだって君が笑ってる…






それだけでいい…

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