オレだけの Candy Baby …３

love sweet candy … １１２ ページ22

「…さて、コレで全部か……思ったより、少なかったな…」

オレが局から与えられてた役員室…


ここにオレがいたことを示すものは、全て処分してもらうようにした…


作り付けの棚の中のモノも…
デスクの中のモノも…


残ったのは私物のノーパソと、少しの本と…笑顔のユキト…



立つ鳥跡を濁さず…だ…

次の役員が決まれば、この部屋にはまた大量の荷物が運び込まれるだろう…

ここからまた、新しい時代が始まる…


「…ユキト……もう、いいよな、全部終わらせても……」


あの日から何一つ変わらない…笑顔のユキト…

「オレばっか歳くって…おまえ、ずりぃな…」


写真をバッグに納めようとしたとき…

いきなりけっこうな音を立てて、ドアが開いた


「…やっぱ来たか…そう来ると思ったよ」

怒りで顔を赤くして、ソイツはオレの顔を睨み付けるとツカツカと傍に来た

「アンタなんなのッ！？局辞めるとか、アタシ聞いてないんだけど！！」

「…社長にしか言ってねぇからな、てか、どっから聞き付けたんだよ、一応トップシークレットのハズなんどけどな…」

「…アンタの様子がなんだか変だって、北山クンが心配して、アタシに聞いてきたのよ！…スタジオにいるのかと思ったら、キスギは知らないって言うし…アンタが番組見に来ないなんて絶対なんかあると思って、社長に直談判しに言ったのよッ！そしたら…っ…」


ミサキの目から、涙がポロポロ零れて…あーあー、つけまが取れそう…


「…宏光が？」
「そうよ、最後に見たアンタが、ホントに寂しそうに見えて、心配だって…」

そか、…この部屋を出ていく時か…

相変わらず…可愛いことしてくれる…



「伊織…なんで？…やっとアンタの夢、叶えること出来る体制が整ったのに…どうして出ていこうなんて…アンタの考えてること、サッパリわからない…」

「…体制が整ったから、出ていくんだ、オレがやりたかったことは、次の世代が継いでくれる…ココでやり残したコトはなんにもねぇよ…」


「伊織ッ！」

「…ミサキ、…ほんとはもっと早く、オレはココを去るべきだったと思ってる…ユキトを手離した時に…オレは全部捨てるべきだった…そして…ユキトを迎えに行くべきだったんだ……」



「…伊織……アンタまだそんな…ユキトが亡くなったの、今でも…自分のせいだと思ってるの？」

オレの袖をつかんで、ミサキはそう問いただしてきた…



「ユキは…オレが…死なせたようなもんだ…」

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