オレだけの Candy Baby …３

love sweet candy … １０３ ページ13

そして…

番組はいよいよ最後の回となった…


最終日のテーマは


《旅立つあなたへ…》



…朝からオレと太輔はテレビ局に出向き、最後の放送に向けて、音出しやらなんやかやと打ち合わせをしていた…

今回の番組、統括プロデューサーは伊織さんだけど、毎回チーフは違う人だった

今日のキスギプロデューサーは、オレたちグループをよく見てくれる人…最初に伊織さんを紹介してくれた仲良しの人だった…


一般視聴者さんから事前にメッセージを送りたい人の写真とコメントを募集したり、街角で取材をしたり…オレらの事務所は被災地へのボランティアにも参加させてもらってるから、その地域への特別な思い入れもあった……


「…おはようございます……」

ミーティングに集合すると、スタッフさん達は、ほぼ全員が放心状態で…

「ど、どうしたんですか？」

ただでさえ男臭い中……タバコの臭いやら食いかけの弁当やらが机に放置されてて、もはや部屋はカオス状態……く、くっせ…


太輔と顔を見合わせて困惑していると、

ガシャンてドアが開いて、ヌボォ…とキスギプロデューサーがドアから入ってきた…


「う、うわぁぁ、キスギさん怖すぎですッ！」


「……え、…あ、二人ともおはよ……ﾊｧ、さっき最終編集…終わった…なんとか間に合った…」

「えッっ！？徹夜っすか？」

「…ンー、オレらほぼこの二日寝てねー…」

ドサッとパイプ椅子に座り込んで、キスギさんは目を擦っていた…


「…なんにもお手伝い出来なくて、申し訳ありません…」

太輔がすまなそうにそう言うと、キスギさんはニコッと笑って、手をヒラヒラさせた

「ぜーんぜん、久々楽しかったわ、ホントに…今までになくのめり込んだ時間だった…伊織さんも、《視聴率とかスポンサーへの気遣い無用、いい仕事すれば結果は付いてくる》って言って、現場にトコトン自由にさせてくれたんだ、全責任はオレが取るって、…かっけーよなぁ…」

「視聴率…どうなんですか？」

「めっちゃいいよ！特に君らのグループの特集回は、この日の全テレビ局の同時間でトップだった！」

キスギさんは嬉しそうにそう教えてくれた

「ホントですか？」

「うん、瞬間最高はニカちゃんが泣いたトコと、《smile》の部分だよ、連動させたSNSでも感動したってメッセージが凄まじい勢いで増えていってたしね…いい仕事には、結果は付いてくる…ホントに伊織さんの言う通りなんだなぁって、なんか素直に嬉しかった」

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