You are my everything ー キミ色の日々

COLOR ４３ ページ46

手を繋いで歩く砂浜…

裸足だから、サラサラした感触と太陽の光で暖められた砂浜が気持ちいい…ヒロもその感触が嬉しいのか、砂を蹴ったり、時々座り込んで砂を掴んで投げたり、やってるコトが、なんか小さい子どもみてぇ、…

「…人の声……しないな…」
「そうだな…今はオレ達しかいない……座ろっか」

二人で並んで座ると…離れてしまう手…でも、ヒロに触れていたくて……オレはまたヒロの手に自分の手を重ねた…

海の方を向いていたヒロの顔が、オレをチラッと見て、ｸｽｸｽ笑ってくる

「なに？」
「ん？…太輔、スキンシップ好きなんだぁて思ってさ…」
「…イヤか？」
「ううん…そんなことない……オレ、見えないからさ…人の表情がわからないんだ……その人が悲しんでんのか喜んでんのか……わかってあげられないから…触れてくれてると、すげぇ安心する……伝わるんだ…色んなコト…」

「…ヒロ……」

「波の音……いいな…オレさ、2歳から見えてないだろ…けど、海の記憶だけはあるんだよな、多分父さんと母さんと３人で来てて…目の前に広がった大きな水の固まり？…キラキラ…って言うの？…何となく覚えてるんだよな……きっと今、目の前にあるのは、あの時と同じ風景なんだ……風も…ホントに気持ちいい…」

そう言いながら…ヒロは海からの向かい風を胸に吸い込んだ…

「この風……黄色かな…」
「黄色…？」

「爽やかで…少し香りがあって……心地いい……元気もらえる色かな…」

「黄色い…風……な…」

ヒロは両手を前に出し、キュッて何かを掴むような仕草をした


「なにしてんの？…」
「ん？風…捕まえてる………持って帰る…」


握った手を見つめて、幸せそうに笑ってる……



ヒロには見えてるんだろう……黄色い風…見えないヒロだからこそ《見えるモノ》が、きっと…ヒロの世界には無数にあるんだろうと思う…




愛しい………




胸に迫るほどの想いがオレの中に存在する…






握ったままのヒロの手をそっとオレの手で包み……その手にキスをした……

「…太輔……？」




「……愛してる…」









生まれて初めて言葉にしたこの想い……




伝えられたのが、ヒロだったことが……






オレは、何よりも嬉しかった…

COLOR ４４→←COLOR ４２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す