You are my everything ー キミ色の日々

COLOR ３１ ページ34

「……ハァ、タイムあがんねーな…」

今日も今日とて…オレのラップタイムは上がる兆しがない…

こんなんで、チームライダーなんてやってていいのかな…拓哉さん率いるレーシングチーム

《TEAM★Ｊ's》

元々拓哉さんは海外のレーシングチームで、レース用のバイクの開発者として腕を上げていた人だった…

自分が作るレーシングバイクで、世界に通用するトップTEAMを作りたいって夢を持って、日本に帰って来た…

拓哉さんの呼び掛けに集まった人達…各自動車やバイクメーカーで経験を積んだ、職人ともいえる技術者の集まりだった


チームのスポンサーは、日本最大手の不動産会社
《ウィステリア・ホールディングス》
ここの会長が、拓哉さんの海外での活躍を知ってスポンサーの名乗りを挙げてくれた…

チーム存続の為の莫大な費用を、広告宣伝と言う形で出資してくれてるらしい
つまりは企業の看板を背負って走るのがオレという訳で…

中学からレース大会に出ていたオレに目をつけてくれたのが拓哉さん…正式な誘いがあったのが高校卒業の時…大学進学を蹴って、オレは拓哉さんに自分の可能性と夢を懸けた…

…けど…限界を感じているのも事実で…

オレを使い続けてくれる拓哉さんに、チーム内からも不満の声が上がってきてるらしい…
新しいライダーを…という要請もスポンサーからあるみたいで…


正直、オレは自分の行く末に…以前のような光を感じるコトが全くできなかった…見たくても見えなくなってるその輝きを…ヒロに投影することによって、逃げていたのかもしれなかった…




「…拓哉さん…このまま太輔を使い続けていいんですか？」
「ホントに太輔にＪ'sの未来を託せるんですかね？」


控え室……何度も聞いたこの会話…


耳を塞いでしまいたくなる…だけど受け止めなきゃいけない現実…

「……オマエたちの言いたいことはわかってるし…ソレはオレも考えてる…」


拓哉さんの……冷静な低い声がドア越しにきこえる……それ以上、今のオレ…何を聞く必要がある…

オレはその場を離れ…サーキットから外へ出た…


「…だけど、それでもオレは太輔の可能性に懸けたいと思う…あの事故のトラウマが消えれば、太輔は必ず俺たちを表彰台に連れていってくれる……もう少しだけ待ってもらえないか…太輔のライドテクニックは必ず、復活するから…」

「ですが、目の前の大会に今の太輔では勝ち目はありませんよ、別のライダーを…」

「…承知してる…明日ソイツが来る…」

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