ボーイフレンド(借)ーレン・フレ ２

９０話 ページ42

「…っ、1000万…っっ！？」

破格の金額に、オレの言葉も続かない

「開業資金とやらでしたが…返済日から大分過ぎておりますし…お利息含めて、ですね」
「そんな大金……ムリに決まってる…」

呆然としたオレに、その男は名刺を渡してきた…

「…可愛いらしいカオをされていますね…あなたなら、ソノくらいの金額…すぐにご返済可能だと思いますよ…」
「は…？」

グイッと顎を掴まれ、男の顔が近づいてくる…蛇に睨まれた…ってこういうことを言うんだろう…手を払いのけるコトも、この男を睨み付けることもできない……執拗な視線を遮るように、目を逸らすコトが唯一の抵抗だった……


「…あなたなら、商品としての価値はＳランクです…大切なお父様の為に……、ご相談をお待ちしています…」
甘ったるい香水の香りが、オレに纏わりつく…逃げられない…と直感する程…強く…

クスッ…と耳許て笑う声がして、オレは解放され、男達はひとまず帰っていった…


「…宏光…、すまなかったな…」
「オレなら大丈夫…だけど、どうしてそんな大金…返済のアテ…無いんだろ…？」
「友人と一緒に、会社を起こす計画をしていたんだ…だが、ソイツが金を持って逃げてしまってな…借金だけ、私に残ったんだ…」
「…その人、見つからないの…？」

深いため息をついて、父さんは項垂れた…

「…元はと言えば、あの男が…」
「…？」

「私が、お前と母さんと離れなければならなくなった原因は、ウィステリアの藤ヶ谷…あの男のせいなんだ…っ」

ウィステリア……？…藤ヶ谷……っ！？


「……それ、どういう…コト…？」

「……アイツの卑怯な地上げのせいで…私は…何もかも失ったんだ…会社も家族も…幸せな日々も全てな……それが原因で、お前にも母さんにも……ずっと…苦しい思いをさせてしまった……っ」


父親の口から出た名前に…オレは耳を疑った


……藤ヶ谷……太輔…？


…オレの家族を崩壊させたのは…




………太輔の父親なのか…………？

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