想い人 … 232 ページ41
かーさんの荒っぽいゲキに背中を押され、僕は自転車を飛ばした。
この場所には、奏を送り届けたあの日しか来たことが無い。
長い塀に沿って自転車を走らせ、見上げる高さの門扉に辿り着く、インターホンを押すと、少しして誰かが出てくれた気配があった。
「あの…」
名前を言いかけると、フッと微かな忍び笑いが聞こえた。その対応に戸惑いつつ「すみません」と続けた。
「…やっぱり来たのか」
「えっ!?」
スピーカー越しの声でも、誰の声か判別できた。山下智久…その人だ。
病院で会っただけだけど、その端正な顔立ちと自信に満ち溢れた立ち振る舞いは、今も強烈に僕の記憶に残っていた。
ピッ…と背筋が反応する。
「突然すみません!僕…っ」
「セキュリティ解くから入っておいで」
てっきり拒否されると思っていたから、サラッとそう言われ、なんだか拍子抜けしてしまう。
そして、カチャン…と音がして目の前の門がゆっくりと自動で開いた。そのまま敷地内に足を踏み入れる。
奏を送ってきた時は門までだったから分からなかったけど、石畳を進むにつれ見えてくる広大な敷地と邸宅に、僕は圧倒された。
確かに広さだけなら僕の家と大差ないかもしれないけど、純和風の僕の家とは違って、《拘りのデザインを盛り込んで作られた》という表現がピッタリだった。
社会的地位の高さと桁外れの経済力、この家は山下智久という人の背景までもが完璧であることを伝えていた。
ともすれば怖気づきそうになる自分を奮い立たせ、僕は石畳を踏みながら玄関へ進んだ。
あれ…玄関ドアが開いてる…
両開きの大きなドアは開かれ、男の人が持たれるようにして立っていた。
待たせるのは失礼だし…と足早に向かうと、白シャツにブルーデニム、モスグリーンのカーディガンを軽く羽織った人が僕に顔を向け、中に入る様アイコンタクトで伝えてきた。
「突然すみません」
「いや、構わないよ…」
山下さんは微かな微笑みを浮かべ、僕を見た
僕の方が背は高いけど、何気ない表情や仕草の一つ一つに大人の風格が現れてる。着ている服もシンプルだけど、とても質の良いものなのが見て取れた。
この人、とーさんに似てるな…と、ふと思った
広い玄関に招き入れられ、揃えてある室内履きに履き替える。前を歩く山下さんに着いて行くと、豪華なリビングに通された。
てっきり奏がいるのかと思っていたから、誰もいない部屋に少しガッカリした。
「奏はいつも、この時間は眠ってるんだ」
344人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
GAYASAKURA(プロフ) - tryさん» 見守って下さればと思います!お返事遅くなりゴメンなさい😭🙏、コメ大感謝でーす♥️ (2022年3月11日 21時) (レス) id: a6c9395ed2 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - tryさん» こんばんは😊、コメありがとうございます!普段は可愛い可愛いかーさんですが、もちろんオトコマエな部分めっちゃあります笑笑、北ニカエピに似てるかなぁ…と、どうかかーさんの想いが届きますように、宜しければもうしばらく結奏の《コレカラ 》を (2022年3月11日 20時) (レス) @page40 id: a6c9395ed2 (このIDを非表示/違反報告)
try(プロフ) - 久しぶりにカッコイイかーさんの登場ですね!!大好きです!!結永くんには、(何を言われても)奏くんを優しく包める男に成長してほしい( ´艸`) のんびり続きを楽しみにしています♪ (2022年3月10日 14時) (携帯から) (レス) id: 9d1b77fd6f (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - のこさん» こんばんは😊、コメありがとうございます!そうですねーボチボチ次の領域展開です笑笑、かーさんが爆おこしてます👹💢、結永もこんなかーさん見たことないでしょうね😆、宜しければ続きをのぞいてみて下さいねー!コメ大感謝です!! (2022年3月9日 22時) (レス) id: a6c9395ed2 (このIDを非表示/違反報告)
のこ(プロフ) - また新たな展開。北山くんとドクタートモをみてモヤモヤする藤ヶ谷くんもまたみたいです。結衣くん動きだしますね〜楽しみです (2022年3月8日 23時) (レス) id: 18c1a38604 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:GAYASAKURA | 作成日時:2020年8月16日 15時