Memento

想い人 … ３２ ページ33

「…やだよ」
「、、ですよね……」
「分かってんなら聞くな」
「、はい…ゴメンなさい…」

って、あからさましょぼぼぼーんてしてる、その落胆の様子が、飼い主に叱られて小さくなってる大型犬みたいに見えて、思わずブッ…て吹き出してしまった

「え、なに？」
何が起こってんのか分かんないって風に、きょとーんてなるから、更に面白過ぎて…

「お前さ…ｸｽｸｽ…見た目とするコト違いすぎるわ、ﾌﾟﾌﾟ…あーおもしろ……他の人に言われない？」
笑いを噛み殺しながら聞くと、なんか思い出したみたいに「あ、かーさんに時々言われる、無意識にやらかすトコとーさんソックリって…え、でもそうかな？」

って、眉下げて頭傾げてるから余計に笑ってしまった

「そんな笑わなくても…」
「だってお前、見た目めちゃくちゃシュッとしてんのに、今ものすごく情けない顔してるから…ｸｸｸ…」

あーあ、と一頻り笑って最後のオムライスを口に入れた、モグモグしてるオレをじーっと見ながら藤ヶ谷が聞いてくる

「マネージャー…」
「しつこい、しないよ」
「……うん、、でも気が変わったらいつでも」
「変わんない、基本オレ運動出来ないから」
「なんで？」
「なんででもだよ…」

これ以上話すことも無くて、トレイを片付けようとした時、向かいから背の高い男が歩いてきた

「なんだ藤ヶ谷、また違うの連れてんな、橘茉莉花だけじゃ物足りなくて、今度はオトコにまで手ぇ出してんのか？」

ソイツは、オレの顔を無遠慮に見ながらほざいた

「氷室センパイ…、違いますよ、そんなんじゃありません」
「稀代の‪α‬は節操無しか、傍に置くヤツは選り取りみどりだな」

嘲笑うような薄っぺらい笑み
なんだコイツ、感じ悪い…、
胸についてるゴールドスターで、上級生なのが分かる

「生徒会長指名受けたんだってな、オレの後釜なら手ぇ抜かずにしっかりやってくれよな」
「はい…」
「あーそうだ、橘も生徒会入ったんだってな、、お前、オレから茉莉花引き離せて満足だろ？」

「……」
藤ヶ谷は何も言わず、弁当箱をグリーンの布で包み始めた、周囲は遠巻きに二人のやり取りを見てる感じだ

相手の男がオレに目を止める、瞳の奥にイヤな光が見えた気がした

「お前見ない顔だな、名前は？」
「は？」

そして唐突にオレに向けて手が伸ばされる、その行為に瞬間目を閉じ、身構える自分がいた

けどオレに触れる寸前、その手を別の手が掴んだ


「止めて貰えませんか？」

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