Memento

想い人 … １５ ページ16

「…という事で、藤ヶ谷、橘、咲嶋は生徒会を盛り立てつつ、文武両道しっかり頑張るように！」
「はい、よろしくお願いします」

一礼して先生を見送ると、生徒会室は静かになった、今日は三役だけの招集、そしてクラス委員が決まると、早速その人達との打ち合わせが待ってる

生徒会担当の学年主任の先生から、アレコレと引き継ぎに付いての指示を受け、とりあえず今日はお開きとなった

彬人に目配せして、どうにか茉莉花と仲直りをさせようとしたけど、茉莉花はハナからガン無視決め込んでるみたいだ

「茉莉花、さっきは…」

彬人もタイミングを伺いながら話しかけるけど、彬人を見ることも無くスタスタと教室を出て行った

「はぁ…も、やだオレ」
身体中の二酸化炭素を吐き出す勢いでため息を吐く彬人に、僕は掛ける言葉が見つからない

「茉莉花さ、昔はあんな強情っ張りじゃ無かったよなぁ、薮先生がハク見つけて連れて帰ってくれてさ、一緒に見に行った頃とかすげぇ可愛かったのに…」

「そうだったな…ハク、あの後彬人ンちで飼うことになったんだよな」
「うん、父さんが飼うの許してくれてさ、オレ嬉しかったなぁ…、ハク死んじゃった時、茉莉花ずっと泣いててさ、家から新しいハンカチや花持ってきて、これでハクのコト飾ってやって欲しいって、オレ優しいなぁって思ってたんだけど、ナニ？今こえーのなんのって、アレ何の変化？」

大袈裟にブルって身体震わせるから、つい笑ってしまう

「茉莉花は変わってないよ、彬人がリボン渡した時から」
「それは無いわ！アイツ‪α‬だろ？、勉強も出来るしスポーツも得意、加えてあの顔！だぁ、かけっこで転んでべそべそ泣いてた茉莉花は一体どこ行ったんだ？月日って怖いよねぇ…」

チャラさ全開で文句タラタラの彬人に、とりあえず僕は苦笑いで返すことを選んだ

茉莉花から見れば、変わってしまったのは彬人の方だろう…、なんで茉莉花がピンクのリボンをずっと付けてるのか、ちょっと考えたら分かると思うんだけど…

でも、まぁ…僕から言うことじゃないもんな、茉莉花にもソレは口止めされてるし…

「あ、始業式始まるよ、僕職員室にココの鍵返してから行くから、彬人先に行けよ」
「おう、結永と茉莉花は今年もAクラスか、頑張れよー」
「何言ってる？クラス編成テスト、ワザと点落としたクセに、リベンジテストでウチ来いよ」
「やなこった笑」
「彬人はやれば出来る子だろ？」
「結永さ、お母さんかよ！…じゃ後でな！」

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