Innocent … 君想う日々２

守るべき人 … ５２ ページ5

「でも…茉莉花ちゃん、ボクのコト許してくれるかな…」

不安げに彬人が呟くと、結永くんがにっこり笑って「大丈夫だよ！」と返事をした、そして制服のポケットに手を入れ、彬人の前に差し出した

「はいこれ！彬人くんにあげる！」
「なあにコレ？」

結永くんが手の平を開くと、ピンクと赤の紙に包まれた飴玉が乗っていた

「これはねー《勇気の出る飴》だよ！」
「ゆうきの…でるあめ？」
「うんそう！皆川さんがくれたんだよ、この飴を食べるとね、勇気モリモリになるよ！彬人くんにあげる！」

「え、、いいの？」
彬人が飴と結永くんの顔を交互に見ながら、尋ねた

「いいよ！…あのね、ボクも彬人くんに《ゴメンなさい》するの、ちょっと怖かった、でもこの飴食べたら勇気出た！だから絶対大丈夫！」

胸を張るように彬人に伝える結永くんは、本当に嬉しそうな顔をしていた

彬人と友達になれたことを、心から喜んでくれている笑顔だった

彬人がそっと手を出すと、結永くんが彬人の手に乗せてもう一度「絶対大丈夫！」と太鼓判を押してくれた

「ありがとう、結永くん！」
「ううん、じゃ…ボクもう帰るね、ゴメンなさいが出来たら帰っておいでって、とーさんとの約束だから！」

無邪気な微笑みを私たち三人に向ける結永くん、この子の笑顔は、不純物など何も無い本当に真っ白な心を見せてくれた

「ありがとうね、結永くん…」
妻が彬人の横にしゃがみ込み、結永くんと目線を合わせるようにして、言ってくれた

「彬人くんと友達になれて、ボク嬉しい」
「ボクもおんなじ！！」
可愛いやり取りを見ながら、私は尋ねるべき事を口にした

「結永くん、今日はどうやってここに来たの？」
「えっとね、皆川さんが連れてきてくれたの、お外で待っててくれてるから行かないと…、おじいちゃん、彬人くんのお母さん、さようなら」

ぺこりと私達にお辞儀をした結永くんに、彬人が「お父さん、ボク結永くん送ってく」と言った、その言葉に結永くんがキョトンとなった

「おとーさん…？」
「うん、ボクのお父さんだよ！」
「え、おじいちゃん、、じゃないの？」

私の白髪頭を見ながら結永くんが目をパチクリさせた、これには妻も私も苦笑いだ

「違うよ、お父さん！」
「そうなの！？…ボク、…間違えた、ゴメンなさい…」
眉毛を下げ謝る結永くん、彬人はもうこのやり取りは慣れっ子で、結永くんに何か思ってることは無い

「構わないよ結永くん、車まで送っていこう、おいで彬人！」

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