藤北和亮コラボ小説風占い

愛し君へ43…太＆宏８ ページ46

(…こんなところで、太輔に会えるなんてな…)


２人でたわいもない話を楽しそうにしている太輔と宏光を交互に見ながら、オレはこの出逢いは偶然なのか必然なのか考えていた。。。


(…似てるな…オレに…―…)


横顔のラインは、オレ…というより《オレ達》の母親にそっくりだった。。。

オレ達を産み捨てたも同然の

[女優 鷹取レイナ]


どちらも未婚のまま…まあ、ハナから結婚なんかするつもりもなく、ただ女優としての地位を揺るぎないものにするためだけに、相手に自らを委ね、産んでは相手の男に押し付け、再びスポットライトの当たる世界に戻っていく…



ホント…くだらねーサイテーのオンナ。。。



幸いどちらの家庭も、孫に当たるオレ達を引き取ってくれて、大切に育ててくれた。。。それは本当に感謝している…


オレが太輔の存在を知ったのは、このコが産まれてすぐだった、九条のじーさんとばーちゃんは心からオレを可愛がってくれたけど、血のつなかった家族に憧れていたオレは、弟の存在を知り、同じ境遇に放り出された太輔のコトが不憫に思い、九条家に引き取って欲しいとじーさんに直談判した。。。


返事は。。。ＮＯ…―…

理由は一つ、

太輔もまた名家の跡取りとして生きて行かざるを得ない血筋だったから…



(…藤乃宮には跡取りがおらん、太輔は次の家元として生きていかねばならない運命を背負っておる…和真の想いもわかるが、あの赤ん坊が担う立場に、お前の弟としての役割は入ってはいない…悪いが諦めてくれ…)


……最初からわかっていたことだった…


オレの肩にも九条の未来が託され、生まれたばかりの大輔にもそれを強いるのか…

藤乃宮は何代にも続く華道の家元。。。日本の伝統文化に必要不可欠の存在だ。。。

絶やすわけにはいかない…―…



結局オレはなにもできず、自分の無力感を抱え、失意の中イギリスへ留学した…

愛し君へ44…太＆宏９→←愛し君へ 42…太＆宏７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す