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坂田さんに連れられ、私たちはエレベーターでビルの最上階へと向かっていた。隣では、無言のまま坂田さんが私の手をぎゅっと握り、エレベーターの階数表示をじっと睨むように見つめている。
『坂田…さん？』
「ん？…あ、ごめん！腕痛くなかった？」
『ぁ、全然大丈夫です！』
ハッと現実に戻って私の腕の心配をする坂田さん。たしかにそこには、強く握ったような赤い痕が残ってしまっていた。
「女性の腕にこんな痕付けてしもうた…ほんまごめん…」
『いえ、大丈夫ですよ！あの、それより…』
きょとんとした目で私を見てくる坂田さんに、私は恐る恐る口を開いた。その間も、どんどん階数は上っている。
『…何故屋上に？』
「ん？あぁ、これ？」
階数の表示ボタンを指差す彼に頷きながら、私は背後から見える外の景色に目を映した。地面はとっくに遠く小さくなっていて、白い雲に近付いていく。
もしかして、このままあの白い雲まで行けてしまうのではないか？何もかも雲みたいに、いつか地面に降ってドロドロと溶かされてしまうのではないか？
そんな阿呆らしい馬鹿な妄想をしながら、目の前の坂田さんからの言葉を待つ。
『……』
「……」
『……？』
だが、いつまで経っても坂田さんは無言だった。エレベーターの上がる音だけが辺りに響く。
心配になって彼を見上げる。同時に、背中に何か冷たいものが走った。
『(坂田さんが、坂田さんじゃない)』
彼を纏う空気は、いつもみたいな明るいものではなかった。分かりやすい程に黒々とした、冷たい空気。
『坂田、さん…？』
声を掛けても、彼が私に気付く様子はない。
視線は私を向いているのに、彼の視界には別の何かが映っていた。
ﾁﾝｯ
そんな中、無機質な音と共にエレベーターのドアが開いた。同時に外から雪崩込んできた、覚えのある甘い甘い香水の匂い。
「えっ…？」
目の前に広がっていたのは、何もかもを飲み込んでしまいそうな広く大きな青空と、その下で美しく微笑む、如月美怜の姿。
周りに沢山置かれたカメラと、数人の男性カメラマン。
どうやら撮影中のようだった。
「はーい美怜ちゃん、笑って笑ってー」
だけど、何処か様子が変だった。
周りも、何かを嘲笑うような、湧き上がるような、可笑しな雰囲気。
『は…？』
中心に目を向けた私は、
そのまま金縛りにあったように動けなくなった。
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ハクト(プロフ) - 奏斗さん» コメントありがとう！覚えてるよ、久しぶりだね！奏斗の作品こそ文の表現が綺麗で、とても勉強になります笑 毎日更新していく予定だから、良ければまた読みにきてね！(*^^*) (2020年7月2日 22時) (
レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)
奏斗(プロフ) - 展開が読めないところが面白い！惹かれた！更新頑張って！(思わずタメで話しちゃったけど、覚えてないよね、ごめんなさい) (2020年7月2日 22時) (レス) id: 2650d5f3fb (このIDを非表示/違反報告)
ハクト(プロフ) - 絵が上手くなりたいさん» 完全に打ち間違えでした、ご指摘ありがとうございます！ (2020年7月2日 18時) (レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)
絵が上手くなりたい(プロフ) - 消防車？救急車じゃなくて？(きつく聞こえてたらすみません)夢主ちゃんいい性格してる (2020年7月2日 18時) (レス) id: e48c7240eb (このIDを非表示/違反報告)
ハクト(プロフ) - あかりさん» コメントありがとうございます！読者の皆様に楽しんで頂けるよう、今後も精進してまいりますので、楽しんで頂けたら本望です(*^^*) (2020年7月2日 12時) (レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハクト | 作成日時：2020年7月1日 22時
