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キスをされていると自覚するのに、数秒かかった。目を見開いた状態で固まる私の首に手を掛け、志麻はますます深く口づけてくる。
『っん、んぅ〜っ！』
当然男女の力では対抗できるわけなく、私は志麻の肩をぽんぽん叩く。その肩に彼の汗が染み込んでいて、志麻もセンラさんみたいに一人で練習してたことが伺えた。
『っはぁ、はぁ、』
「……」
ようやく顔を話した彼の前で、私は酸素を求めて呼吸を荒くする。志麻の獣みたいな食いつきをするキスの感触が、じんわり全身に染み込んでいく。
「…答えないと、またキスするで。」
『っはぁ！？』
「答えて、はよ、」
焦らすような目で私を見つめる志麻に、不謹慎にも可愛いなと感じてしまう。常に男らしい志麻の可愛い姿は、なかなかに貴重なのだ。
『普通にちょっと世間話してただけだよ。』
「世間話の為にわざわざこんなとこ入る必要あるん？」
『ふふ、』
…あぁ、3日ぶりだな、この感覚。
『ねぇ志麻、美怜が好きっていうのは嘘なの？』
「……」
冗談混じりに問うた私の質問に、途端に無言になる志麻。痛いほどの沈黙が貫き、私はにっこり笑う。
『私も、志麻と同じだと思う。』
「……、」
『渉と志麻と、美怜と、センラさん。全部ぐっちゃぐちゃに絡まっちゃって、真実が分からない。私は今どうするべきなのか、どうしたら正解なのか。』
「正解なんて、ないねん。」
被さるように、志麻の声が響いた。
「皆が幸せになれる世界なんて存在せぇへん。誰かが傷付いた上で、別の誰かが幸せになれる。」
『志麻…、』
「…俺、さっき知ったんやけど、」
突然志麻の声のトーンが下がる。
「美怜、屋上から自分で飛び降りたん？」
今度こそ、どちらも口を開かなかった。
暫くの沈黙のあと、志麻が再び口を開く。
「俺さ、美怜のことが何で好きなのか未だ分からへん。友情か、異性としてか、単なる同情か。」
『…うん、』
「俺センラから全部聞いたんよ。美怜が考えていたことも、何で飛び降りたのかも。」
え？
「正直、言葉が出なかったで。美怜は薄っぺらいクズみたいな性格やけど、それは全部演技やったんだって。」
私は彼の話に耳を澄ませた。
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ハクト(プロフ) - 奏斗さん» コメントありがとう！覚えてるよ、久しぶりだね！奏斗の作品こそ文の表現が綺麗で、とても勉強になります笑 毎日更新していく予定だから、良ければまた読みにきてね！(*^^*) (2020年7月2日 22時) (
レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)
奏斗(プロフ) - 展開が読めないところが面白い！惹かれた！更新頑張って！(思わずタメで話しちゃったけど、覚えてないよね、ごめんなさい) (2020年7月2日 22時) (レス) id: 2650d5f3fb (このIDを非表示/違反報告)
ハクト(プロフ) - 絵が上手くなりたいさん» 完全に打ち間違えでした、ご指摘ありがとうございます！ (2020年7月2日 18時) (レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)
絵が上手くなりたい(プロフ) - 消防車？救急車じゃなくて？(きつく聞こえてたらすみません)夢主ちゃんいい性格してる (2020年7月2日 18時) (レス) id: e48c7240eb (このIDを非表示/違反報告)
ハクト(プロフ) - あかりさん» コメントありがとうございます！読者の皆様に楽しんで頂けるよう、今後も精進してまいりますので、楽しんで頂けたら本望です(*^^*) (2020年7月2日 12時) (レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハクト | 作成日時：2020年7月1日 22時
