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坂田くんに女の子やねんし、このままほっといたら志麻くんに怒られるから、と駅まで送ってもらった次の日、同期にごめんと謝られた。
…あ、そうだ、坂田くんにお礼のライン送らないと。
「昨日フォローいけなくてごめん!!」
「…いいよ。」
何か言うのも面倒になってしまって、謝罪もそこそこに切り上げた。まだ謝りたそうだけど、別に謝られたところで、昨日には戻らないし。何より謝りたいだけなのが透けて見える。
「昨日の人、知り合いだったの?途中で現れた人。」
「彼氏の友達。」
話し声が聞こえる距離でもなかったもんね。ああでも、フォローしとかないと、面倒なことになる気もするけど…。
「そうなんだ。遠目だけどかっこよかったね。」
「…そだね。」
志麻の顔を見慣れ始めてしまった私からすれば、そこまで何とも思わないけど確かに坂田くんってかっこいいよね。
「彼女さんとかいるのかな…。」
「さぁ。ごめん、電話来たからまた後でいい?」
「あ、大丈夫。」
電話が来たのは本当だけど、話を切らなきゃいけないほど急な電話でもない。…ごめんね、これ以上話に付き合う気も無いの。
人の少ない廊下に出て、鳴り続けるスマホをタップして電話に出れば、珍しく少し焦った声。…こんな声、初めて聴く気がする。
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