薄桜 #fbeff2 ページ2
…もう朝か。
やはり一流の暗殺者たるもの、挨拶にも気を使うべきだろう。
誰がみているかわからないのだから、皆さんおはようございます、こんにちは、こんばんわ、と。
だがしかし国語では"時刻を書きなさい"といった問題も出る。
だからこそ明確にしておこう、
「おはよう、母さん。今日はいい天気だね！」
現在6時30分。
冷えきった家庭でも飯は出てくる。
ALL 冷凍食品だけども…
最近の技術は凄い。レストランの料理と並べても何の違和感も感じられない。
さて、前置きはここまでにしよう。
今までのはタイムラグ。
そういえば今日は雄英の転入日だ。
できるだけ目立たないように。穏便に。
目立つと自由に動けなくなってしまうから。
ALL 冷凍食品…略してA冷を詰め込み学校へ行く準備をする。
無関心そうに支度をする両親を尻目に靴を履く。
一刻も早く家を出たくて踵を潰したまま歩きだす。
暫く歩いたところで踵を直し、まわりに紛れるように駅へと向かった。
がたんごとんと唸る電車に揺られ、目的地の最寄り駅にたどり着いた。
そこからはあまり意識していなかったのですっ飛ばしてしまおう。
僕は今…馬鹿デカいドアの前にいる。
恐らく担任の先生に"呼ばれたら入ってこい"と言われたので大人しくドアを見つめる。
暫くそうしていると先生…もといニャッキに呼ばれた。
よし、冷静に…それでいて親しみやすいような笑顔で…
『こんにちは。えと、顔心幽です。好きな物は音ゲー。苦手なのは…国語です。よろしくお願いします。』
…若干ぎこちなかったかもしれないが及第点。
ちらほらと「真面目だ…」とか「ちぇっ男かよ…」とか聞こえてくるがんなもん無視だ。無視。
心の中で彼らとバトルを繰り広げていると先生から耳を疑うような発言がされた。
「こいつは監視員としてここに来た。だが扱い的には生徒と同じだから仲良くしてやってくれ。」
頭が真っ白になった。
とりあえず素数を数えて落ち着こうじゃあないか…
114514
なんだ淫夢か…
やだぁ、あてくしが財団職員だってことバレちゃうぢゃない！
違う、俺が求めているのはエ●同●誌みたいな感想じゃなくてだな!
もう駄目だ！何も考えられない！
ぐるぐると考えている間にも俺の口はなんとか言葉を紡いでいく。
『あはは…そんな大層なもんじゃないですよ…せん
せ。』
と苦笑した。
心の中は意外と冷静で"やっぱり人間苦しくなると笑いたがる"などとのんきに考えていた。
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作者名：amea | 作成日時：2021年8月22日 15時
