文学監督生と帝国図書館 (ページ1)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:616 hit

1 ページ1

学園長室に呼ばれた私は、学園長の言葉に聞き返す。

「いや本読むのは好きですけど…なんて？」

「ですから、本が闇色の光を放ち、人々の記憶から消え去られるという謎の事態は、ここんとこよく起きていてですね。ある知人に相談してみたところ、いや〜なんでも、錬金術師たちがその現状に歯止めをかけようとしているんだとか。どうです？やってみません？本好きですよね？」

「え…」

二回聞いたけど、うん。
色々ツッコみたいところしかない…。

まず、なんで人の記憶から去るのに去ったことが認知されてんだ。
そう思ったけど、実際黒い光を持って燃える本を見て、数週間後にふとなぜ忘れていたのかわからない本が手元にあるという珍体験をした私にはぼんやりと納得することしかできなかった。

面倒事が運ばれてくることは学園長室に呼ばれた時点で十割型確定しているので、もう特に何もツッコまない。

「……いや、私、監督生ですけど。グリムは？学園生活は？…ていうか、元のせか」

「そうなんですよ！」

人の話を最後まで聞いてほしい。
そんな無言の圧をいつものようにあっさりスルーして、学園長は告げた。

「その知人というのがね、別の世界に住んでらっしゃいまして」

「……は？！」